匿名さん
元近鉄の山下登投手を知ってますか? 1954年 春のキャンプまわりをした時、最も多数の選手を集めていたのがパールス、それだけに練習に熱も入っていたし「今年はやるぞ」といった空気がただよっていた。
しかし長い間最下位球団でもあったのがたたり、こうした決意も努力も認める人が少なく現在四位にいることでさえ「出木すぎじゃないか・・・」などといっている人がいる有様芥田監督にしてみれば「四位は四位でも一位に十ゲームもひき離されたのではふがいない」と考えているに違いない。
芥田監督のこうした強気はどこから来ているか?その大きなたねは、ピッチング・スタッフの優秀を信じていたためであろう。
しかるに一日現在田中の16勝、関根の9勝をのぞいては沢藤4勝、黒尾3勝、永井2勝、五井1勝という有様、まさに期待はずれでこれでは六、七位がせいぜい、それで四位にいるのは「山下の8勝」が大いに役立っているのである。
去年の成績表を見ても山下はのっていないし、キャンプでもたいして話題に上ってもいなかったのに。
西鉄を完封した金星のほかに毎日、東映、大映に各二勝、阪急に一勝という勝ち星は大したものだ。
一体いかなる投手経歴と球質をもっているのだろうか。
山下は神戸生まれ、兵庫工高(三年間投手)を二十八年卒業してパールス入りしたのだから投手になってから五年目、十九歳、五尺八寸の長身であるが軽量級で十五貫、二貫目ほど肥りたいと手をつくしているらしい。
気さくで明るい性格であるが学校時代よくコーチさえ野球をよく知っているし、なかなかねばりのあるプレーぶりである。
前は横手投げだったときいているが現在はスリー・クォーターが多く、外角をつく速球がウイニング・ショットになっているが、その速球が高低、なかなか味なポイントにきまり、ホップする球と落ちる球になっている。
カーブも最近よくなり落ちるカーブを内、外、真ん中の三通りに使い、インコーナーから曲がるカーブを混用しているのが奏功していると思う。
長身を利してのシュートもよく内角にきまりカーブとの配合がうまく行く日は相当効果を挙げているがなんといっても一線に立ったばかりで経験が浅いから球威ののっている日はいいが、少しよくないとひとり角力におちいるおそれがある。
タイミングとチェンジ・オブ・ベース、さらにダブルプレー・ボールの研究がモノになれば一級投手であるきれがいいからまだスピードも加わると思うが、希望どおり二貫ほどふえたら球も重くなろうし球速ものるに違いない。
西鉄の川崎を目標にしているようであるが、肥れば川崎とよく似た身体、フォームも似ているところがある。
パールスのホープとして堅実な歩みを切望したい。
山下登投手の話 野球をよく知っているなんていわれると面はゆい気がします。
高校時代の監督前川八郎氏(元巨人軍投手)から野球理論をいやというほどたたきこまれたのがよかったのでしょう。
またサイドスローから上手投げに変えたのも前川さんの助言があったからです。
タイミングをはずすこととチェンジ・オブ・ベースを会得すること、たしかに中沢さんのおっしゃる通りです。
私もいまスローボールの使い方に頭を悩ましています。
ダブルプレー・ボールは内角へ沈むシュートを投げていますが僕のはどうも速すぎて打者が打ってくれないのです。
もっとスピードを落とせばいいのでしょうが、ひとつ間違うと大きくもっていかれそうで採点表のなかで一番点の高いのはスピード、きめ球、試合度胸ですね。
まあ自信があるのは度胸だけ。
きめ球は外角すれすれのスライダーです。
これもなるべくクサいところをねらっています。
体重は十六貫にふえたと思ったらまた七百程減ってしまいました。
夏バテではありません。
僕はむしろ夏の方が働きいいくらいですから。
やはり旅行の疲れでしょう。
中沢さんにぜひききたいのはこれからもいまのフォームで投げつづけてもいいかということです。
自信がないのではありません。
ただ確信を得たいのです。