匿名さん
元阪神の若生智男投手を知ってますか? 1966年 グローブをたたいて喜んだあとに「これでいいんだ」というつぶやきが何度もつづいた。
「仙台でサカナ屋をやっているおやじに初めて勝利投手になった姿を見せた。
おやじはスタンドでニコニコ笑ってくれたよ。
うれしいのはそれだけじゃない。
これで来年こそチームのローテーションにはいって投げまくる自信をつかんだんだ」この一ケ月の間にナインを驚かせながら6勝した。
その間の防御率1・21で完封二つ。
この日で4連勝。
しかしこの快調なピッチングが始まる一か月前は、シーズン後の首になったときの生活を考えたこともある。
「1勝しかしていなかった前半戦の成績じゃ、球団だってなんというかわからない。
でも考えれば考えるほど、オレは野球で生きていくしかないということに気づいた。
だから残されたチャンスに、もう一度やれるだけやってみようと思った」この日は8三振をとって被安打4。
藤本総監督は「これが若生のほんとうの力だ」といい「これで来季は第三の投手についてうるさく聞かれなくてすむ」と笑う。
「ストレートのサインを出して真ん中にミットを構える。
するとすごい速球がぎりぎりのコースにグンとのびてくるんだ。
フォークボールもあればきわどいコースに生きる大小のカーブもあるというのは捕手の辻佳。
若生は、すばやく着替えをすますと古川コーチにいった。
「今夜は大いばりで家へ帰ってきます。
あしたは八年前に死んだおふくろのお墓参り。
きょうのピッチングをおふくろに見せられなかったのが残念だな」