匿名さん
元阪急の米田哲也投手を知ってますか? 1966年 「本塁打はカーブやったな。
高かったのでやめようかと思ったが、バットがひとりでに出たんや。
一掃してからの左中間安打はまっすぐや」すごい汗だ。
カメラのフラッシュを浴びて首筋まで流れ落ちる汗が光る。
一イニング二安打はプロ入り初めてだ。
勝ち投手になったことより、まずバッティングを楽しそうに話した。
六回一死一、三塁で足立をリリーフしたときは自信があったそうだ。
ブルペンで米田の球を受けた斎藤克は「いまのヨネさんならそう簡単には打ち込めない」と安心して見ていた。
「井石、山崎を連続三振させたのはフォークボール。
これでプロ入り16号かな」また本塁打の話に変わった。
全選手の引き揚げたロッカー。
試合が終わってかなりの時間がすぎたが、汗はふいてもふいてもとまらない。
米田は汗の出る季節が好きだ。
毎シーズンつゆにはいってムシムシしはじめると白星がどんどんふえる。
今シーズンもこれまではまだ勝ち星三つ。
だがとんと気にしていない。
毎年のことなのでスタートでつまずいても自信があるのだろう。
「これからですよ」大きな手で汗を何度もはらった。
西宮球場にくる前、いつも浩史ちゃん(一つ)見てもらうかかりつけの医者(西宮・北口)に寄った。
なんとなくからだがだるかったそうだ。
「先生はぼくの顔色を見るなり、なにしにきたというんだ。
元気なものが医者に会いにくるわけがないじゃないの。
ちょっとだるいんだといったが、はよう球場に行けと見ようともしない」長年病人を見つづけている先生は体臭でからだの調子がわかるそうだ。
診察室にはいってきた米田の体臭に圧倒されたそうだ。
「えらいもんやな。
ぼくのにおいで体調がわかるんだから。
イヌじゃなくってなにかにおいをかいで回る動物があったな」と笑いとばした。
ユニホームからムンムンする体臭が鼻をつく。
いやらしいにおいではなかった。
これで4勝6敗。
西本監督は米田のこの日のピッチングをほめなかった。
「あれぐらい米田がやるのは当然。
おそすぎたんだ」試合前全選手にハッパをかけた小林オーナーは「久しぶるにすかっとした試合を見ましたわ。
米田はこれから働きそうでんな」と笑顔で球場を出た。