【ディーゼルエンジンのクリーン化の前提】 NOx等の排気清浄化装置は、排気を帰還させて再燃焼させるEGRと、尿素を噴霧して排気成分を吸着させ回収する尿素SCRがあります。
VWはバルブオーバーラップEGRが、BMWはクールドEGRが、Mercedesは尿素SCRを採用しています。
・バルブオーバーラップEGRは構造が簡単ですが、排気の帰還後の燃焼制御が必要です。
・クールドEGRは帰還する排気を専用ラジエターで冷却することで再燃焼の効率を向上させて処理します。
・尿素SCRは、DPF後の排気に尿素を噴霧し後段のフィルターで回収します。
いずれの技術でもNOxを低減することが可能です。
【VW不正の技術的な内容】 VWの採用するバルブオーバーラップEGRでNOxを多く低減するには、排気の多くを吸気側へ帰還させる必要があります。
帰還を多くすると吸気での酸素濃度が下がり、帰還が無い状態よりも燃料噴射量を減らす必要があります。
帰還に流す排気が増えるとターボのタービンへに排気圧も低下するので過給量も低下します。
上記でエンジン出力が低下します。
EPA計測時にはEGR帰還を最大化してNOx排出量を最小にし、通常走行ではEGR帰還を最低にしていたのです。
【不正の効果】 規制計測時はEGRの帰還を最大化し規制をクリア、通常はEGR帰還を最小にして燃費と動力性能を最大化し、車両仕様を優れたものにして販売での優位性を確保。
米国での販売シェアを上げる効果。
【リコールでのソフトウェア修正】 ソフトウェアを修正するのは、EGR帰還量をNOx排出量規制に収まるように制御する事になりますから、EGR帰還量が増えるのでエンジン出力が低下します。
帰還でのエンジン燃焼効率が低下するので燃費も悪くなります。
ソフトウェアだけで対策するには、そもそもの過給圧制御の最大を上げてしまいエンジン最大出力を上げる方法があります。
エンジン出力1kwあたり3.4g/kwhがNOxの排出基準ですから、エンジン出力を上げるとNOxの規制値が上がります。
EGR帰還量を減らす事ができるので、エンジン出力は低下してもソフトウェア改修前のエンジン出力レベルに合わせ込めるでしょう。
エンジン強度の設計マージンの課題はありそうですけど。
燃費も同様にEGR帰還量が減る事での改善が期待できます。
おそらく、この方法も検討されていると思います。
(saddog111さんへ)