加速は『馬力』、最大登坂と最高速は『トルク』です。
高速域での加速は、加速なので『馬力』です。
■力というのはベクトルの矢印です。
向きと大きさがあります。
■トルクというのは、力が形を変えたものです。
エンジンの力は、軸トルクになって、駆動系を伝わり、最後にタイヤで力(接線力)に戻るのです。
駆動輪に伝わる軸トルクをタイヤ半径で割ると、接線力の大きさになります。
■仕事とは『力×距離』です。
その接線力で車の進んだ距離が『仕事』になります。
エンジンからすれば、トルク×(『その間』に回転した数)の仕事をしたことになります。
どれだけの時間で成し遂げたかは関係ありません。
■仕事率(=馬力) 重要なのは、この『仕事』をどれだけの時間でこなしたか、です。
これを仕事率といいます。
トルク×(『単位時間』に回転した数)ということになります。
仕事率が大きければ、短い時間で大きな仕事ができます。
馬力は仕事率になります。
で、最初のお題に戻ります。
■最大登坂 最大登坂は綱引きと同じです。
力と力の釣り合い。
重力という相手と綱引きをする訳ですから、トルクだけの勝負になります。
馬力は関係ありません。
(もちろんタイヤのトラクションの範囲内での話です) 机上ではトルクカーブと抵抗曲線の交点から求めることができます。
その例はこちらを… http://meganiste.com/%E8%B5%B0%E8%A1%8C%E6%80%A7%E8%83%BD%E7%B7%9A%E5%9B%B3_2.0MT,1.6MT,2.0AT ■最高速 これは、誤解している人が多いんですが、『空気の壁』という抵抗と押し相撲をするわけで、基本的には最大登坂と同じです。
最大登坂は1速で行う押し相撲、最高速は5速(6速)で行う押し相撲です。
馬力は関係ありません。
トルク(力)だけです。
机上では、トルクカーブと抵抗曲線の交点から求めるのも同じです。
ただ、実際には、機械の内部抵抗(オイルの粘度なども含む)などがあるため、やってみないとわかりません。
もっとも某湾岸漫画のように、純粋な最高速チャレンジでなく、その領域でバトルをするのであれば馬力も必要になります。
これは言葉のニュアンスの問題です。
■加速は馬力、最高速はトルクです! 最高速が馬力、加速はトルクという俗説の方が、世間では広く信じられています。
一つは某湾岸漫画のせいと、もう一つはトルクが接線力となり、車を直接押すイメージからです。
この誤解は相当根強いみたいです。
このデータを見て下さい 加速と馬力はきれいに相関していますが、トルクとは相関しません。
http://www.tagtea.com/daybreak/auto/423.html#01 これで信じてもらえるかな。