ニッケル水素電池は、リチウムイオン電池よりも電荷密度は1/3程度しかありません。
そのため同じ電荷容量のバッテリーだと容量が3倍程度になります。
又、充放電の電流容量が小さいため、一度に大容量の電力を使ったり充電する事ができません。
バッテリー自身の性能としては、リチウムイオン電池の方が格段に優秀です。
ニッケル水素電池は、物理的な特性としてメモリー効果というものがあります。
電荷蓄積下限電圧を徐々に記憶してしまい、電荷容量があっても放電してくれなくなります。
このメモリー効果を抑えるために、電荷をバッテリーセル間で移動させて記憶させるのを阻害させる必要があります。
制御を怠ると、あっという間にメモリー効果が起こってしまいバッテリーとして使えなくなります。
バッテリーを完全に使い切ってからフル充電するような使い方がベストですけど、車載バッテリーとしてはどうしても継ぎ足し充電になってしまいます。
リチウムイオン電池は、充放電での電荷の移動で発熱します。
この熱が電解質を劣化させます。
そのため、バッテリーの冷却が必要となります。
高温状態が続くと対数的に寿命が短くなります。
超寿命にするには、高度な冷却装置が必要です。
BMWのようにアルミダイキャストの水冷ジャケットでバッテリーモジュールを封印し、エアコンで冷却水を生成して循環させるような方式もあります。
日本メーカーのハイブリッド車は、殆どがシロッコファンによる空冷なので、炎天下では寿命が心配ですけど。
リチウムイオン電池の電解材は発火性の高い物質が使われます。
水との化学反応で発火するので、防水構造が必要です。
日産リーフのNEC製リチウムイオン電池は、ラミネートパック化することで高い防水性能があります。
ハイブリッド車での車載では、ニッケル水素電池は20万km、リチウムイオン電池は30万km以上は持ちます。
タクシー会社では、ニッケル水素電池のPrius等では20万kmで交換、リチウムイオン電池のFUGA等では30万kmが交換の目安だそうです。
カーボンナノ技術を使ったリチウムイオン電池を搭載するBMW ActiveHybrid7Lでは30万kmを超えても劣化の兆候はまだだそうです。
バッテリー寿命だけを考えるならリチウムイオン電池の方が良いでしょう。
実際の寿命は運転環境等の影響と個体差があります。
交換費用はリチウムイオン電池の方が高額です。
いずれでも、20万km乗って交換が発生するかどうかはその時までわかりませんから、寿命を考えてもしょうがないと思います。
---------- 宣伝のため、プリウス2代目で100万kmバッテリー交換無しという記事があります。
http://response.jp/article/2013/12/27/213890.html 6年間で100万kmという事ですが、一種のトリックがあります。
単純計算で1日の走行距離は457kmにもなります。
タクシーの乗客稼働率は2〜5割程度ですからアグレシッブに見て5割として、2名の運転手が8時間交代で運転したと想定しても、平均57km/hで走行しなければなりません。
ほとんどがEV走行できない走行速度ですから、バッテリーへの充放電は無い状態でしょう。
これだけの平均速度だと走行距離の1%程度しかバッテリーが走行に使われ無いと思われます。
100万km走っても1%しかバッテリーが使われなければ、6年間で1万km走ったのと大差無いでしょう。
オーストリアトヨタの手厚いメンテナンスと、200台中の1台というプロモーションですから。
走行距離が長くても、バッテリーの充放電が無ければ寿命は伸びる特異例です。