匿名さん
【回答リクエスト】 黒田投手がカープ復帰の一つの契機になった出来事を知ってますか?(中国新聞の黒田物語から抜粋) メジャー7年目のシーズンを終えて帰国した2014年10月25日朝、黒田は 知人にメールを送った。
「被災地に連れてってほしい」。
8月に広島土砂災害で大きな被害を受けた広島市安佐南八木地区の現状を確かめるためだ。
米国から義援金も送っていた。
車で八木地区を訪ね、徒歩で被災地を移動。
重機で壊される家を見ていた家族の横を足早に通り過ぎようとして、声を掛けられた。
「黒田さんですよね」。
少し驚いた表情で立ち止まった黒田は声の主、坂本三千代(59)に被災した時の状況を尋ねた。
坂本さんは詳細を話した。
雷がなっていた午前0時すぎに自宅で就寝。
午前3時ごろ目が覚め停電に気付いた。
既に1階は床上浸水し、別の部屋で寝ていた長男を起こす。
山側と反対の2階部屋に逃げ込むと、土石流に襲われ大木が突っ込んできた。
家は土台ごと流失。
傾いた部屋で長男に守られ、ぶつかって止まった隣家の2階へ窓から避難した…。
神妙に聞き入っていた黒田の発した言葉は坂本さんの心に染みた。
「大変だったですね」。
その後、全員で記念撮影。
沈み込んでいた坂本さんも少し和んだ。
「今から考えれば失意のどん底。
そんな時に現れた黒田さんは誠実で謙虚な人だった」と思い返す。
出会いから2年余り。
坂本さんは黒田の言葉やカープ復帰後の姿が家族の力になったという。
「子供たちは何回も球場に試合を見に行った。
黒田さんが頑張っている姿を見ると、私も負けたら駄目よねと思った」と感謝する。
そんな思いを伝えたくて、優勝パレードにも足を運んだ。
「ありがとうございましたと言いたくて」 黒田は被災地に足を踏み入れてから2ヶ月後の14年12月、カープ復帰を決断した。
数ある復帰理由のうち、被災地での出来事は決して小さくない。
「苦しい状況にある人が僕が行くことで少しでも気が紛れてくれたら。
少しでも喜んでくれる人がいるなら、それは最大のモチベーションになる」。
この2年間、痛みに耐え、チームを支えた原動力でもあった。