元大毎のディサ投手を知ってますか? 1961年 「ベリー・タイヤード(大変疲れた)」しかしニコニコあいそのいい顔は疲れたようすもみえない。濃い太いマユ、ホリの深い目。鼻のあたまがニキビでちょっと赤くなっている。「今夜のピッチングはいままでのなかでいちばんいい出来だったと思う。速球がよかった」そこへ通訳もかねる田中コーチが「速球にコントロールがあったのがよかったですね。それにいままではあまりついてなかった。今夜はその点よかったですよ。ヒット何本打たれました?」「五本です」それを田中コーチの口からきくよりはやく、ディサは「打たれた安打の数より勝ったことがいちばん大事です」これには田中コーチも「なるほど、なるほど」一本とられた形。愛称ディック。醍醐はディックのピッチングについて「ブルペンでは非常にいいピッチングをするんですよ。ところがシーズンはじめはマウンドへ上がると、ブルペンの調子の半分も出なかった。最近だいぶ落ちついてきて、今夜は内外角のいいところへ球がきまったけれど本調子にはあと一息ですね」そして田中コーチは今夜のディサにこんな注文をしていた。「とにかく自信をもつことですよ。ディサはとてもいいシュートをもっているんです。そりゃすごいですよ。ところが試合になって右打者が出るとぶっつけるんじゃないかとこわくてほうれないらしい。それが惜しいです」シーズンはじめは西田の家に下宿していた。その後西田の家の近くのアパートに移ったが、まだなにかと西田の世話になっている。この二十三日が誕生日。あと一週間で二十歳になる。 投球数118。いままで四球を出して自滅していたディサにしては少ない。ストレートのコントロールがよくコーナーにきまった。売りものの速球もたしかに速く、重い。ただしカーブはブレーキがあまく、コントロールもよくない。まだ若いんだし、暑いところで育った投手だから夏場にむかいゲームになれればなれるほど大毎の戦力となるだろう。