匿名さん
元ヤクルトの松岡清治投手を知ってますか? 1972年 早くも来季の新人王を目ざしスタートを切っている男がいる。
三原監督が「必ず新人王をとらせたい」といって英才教育をしているヤクルト・松岡清投手(18)だ。
ことしファームで最多勝、ベスト・ナインなど四つのタイトルを獲得、秋季キャンプでさらにみがきをかけている。
「もちろん、首脳陣の期待にこたえたい」と本人も意欲十分だ。
「練習が楽しくてたまらない」という。
連日、五時間にわたるハード・トレーニング。
フラフラになる選手が多い中で、松岡清はすまし顔だ。
それもびっしり組まれたスケジュールで、ランニングなどは他の選手の倍くらい平気でこなしている。
「ファームではなんとか通じたけど、やっぱり一軍では細かいコントロールが必要でしょう。
そのためにも下半身を鍛えなくちゃ」という松岡清の頭の中には、一軍で投げることしかない。
ランニングをしながら、一軍、一軍と叫んでいるそうだ。
ことし、イースタン・リーグで12勝(6敗)して最多勝を獲得、ベスト・ナイン、最優秀投手、殊勲選手賞と四つのタイトルを手にした。
「もう同期の竹内(大洋)保坂(東映)らはライバル視していません。
自分は自分、ライバルは、いつ出来るかわからないけど20勝という数字ですよ」この日、約百球のピッチング練習をしたが、中西ヘッド・コーチは「あのボールは打てないぞ」と速球にうなり「どんなピッチングをみせるか、オープン戦が楽しみですよ」と三原監督ら一軍首脳陣の期待は大きくふくれあがってくる。
しかし、まだまだ荒けずりなところも目立つ。
「大きく育てよう」という三原監督の指令で、今シーズンは直球とカーブしか投げなかったが、なにせコントロールが決まらない。
「インコースをねらったのに、外角にいって三振をとったりする。
まあ、大変なんですよ」と自分でいうのだから、その荒れっぷりは相当なものだ。
シュート、スライダー、フォークボールなど練習では投げているが、来季も首脳陣は直球とカーブだけを投げさせる方針だ。
だから、いっそうキメの細かいコントロールが要求されてくる。
「まだ下半身が安定していないんです。
でもプロ入りして3㌔ふえ、体重が76㌔になり、太モモも3㌢ほど大きくなった。
やっとからだがプロ向きにできつつあるんです。
下半身をもっと鍛え、投げ込めばなんとかコントロールも出てくるでしょう」と本人はいたって楽観的だ。
もともと陽気な性格でおっちょこちょい。
薬屋に「ソバをください」といって店員をびっくりさせたり、エース松岡弘のユニホームを間違えて着て、松岡弘にみつけられると「エースにあやかりたかったもんですから」とペコリと頭をさげ、相手を笑わせる機転もきく。
そうかと思うとナインのスパイクをみがいてやったり、合宿でもこまめに動く。
「こんどの阪神戦(オープン戦)で田淵さん、藤田平さんたちに真ん中に直球を投げ、どのくらい打たれるか、打たれたらまた同じところに投げてみますよ」と負けん気も人一倍ある。
その男が「来年はなんとしてでも新人王をとって両親(憲久さん、はるみさん)に喜んでもらいたい。
とくにおふくろには苦労ばっかりかけた。
いままで一回も反抗したことはないけど、まだまだ世の中で一番こわい人なんです。
そのおふくろに、どうだと胸を張ってみたい。
そのためにもこのキャンプは、自分の将来をかけるつもりです」まだまだ若さをまき散らしながら、みんなに愛されて、松岡清は意欲満々のスタートを切っている。