元南海の里見進選手を知ってますか? 1970年 昼食の作戦タイムを待ちかねるようにして南海・沼沢コーチが会議場から出てきた。
顔見知りのロッテ担当者をみつけると廊下のスミに引っぱるようにして連れていった。
「里見って人間的にどうなの?」答えが悪かろうはずがない。
性格もいいし、頭もきれる。
現在高円寺にある寮長を兼任、将来はバッテリー・コーチの声もかかっている選手だ。
「ありがとう。
こいつがこんどの収穫になりそうだ」急いで会議場にもどる沼沢コーチ、あとは前に指名する東映、阪急が見のがしてくれるのを願うだけだ。
野村監督はシーズン中から里見をねらっていたフシがある。
今シーズン一塁前田益の影武者で出場一回の里見を・・・とビックリしてはいけない。
さすがインサイド・ワークにたけた野村、目のつけどころが違っていた。
里見のロッテにおける役どころはこうだ。
一、球筋のよさを買われてバッティング投手。
一、日本シリーズ前は西スコアラーに代わってスコアラー。
一、サインの中継。
(球団は否定しているが) そして昨年まではブルペン捕手をしていたのでロッテの誇る三本柱の球筋は先刻承知である。
ある球団関係者はなげく。
「里見は打者同士のサイン、監督のサインの出すクセなど知っているはずだ。
サインなんて毎年そう大きく変えるわけにいかんからな」この言葉の裏には「どうしてリストアップしたんだ」という怒りがこめられている。
またこんな話もある。
会議場でくばられたリストをみて飛びあがらんばかりに驚いた某氏は濃人監督に詰め寄ったそうだ。
「もし里見をとられたらウチの手の内はすっかり読まれてしまうじゃないですか」「十番目の選手でほかに適当な人間がいないからアテ馬のつもりで出した。
まさか指名はせんだろう」しかし結果はごらんのとおり三巡目で南海が指名した。
群馬県立富岡高からオリオンズにはいって九年目。
136試合、打数21、安打5、本塁打1、打点3、打率一割八分五厘。
これが里見の公式戦における成績のすべてだが、この表面に現れたアベレージとは問題にならないくらいの損失をロッテはしてしまった。
逃がした魚の大きさを来年のペナント・レースでロッテが身にしみて味わわなければよいが。
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