ご確認しますと・・・ F:225/35R19 7.5J+50 R:225/35R20 8.5J+45 ・・・という組み合わせですか? 車検も通りませんし、クルマのセンサー類も誤作動を起こすほか、FF車の仕様としては見栄え上の問題もあります。
できる限りわかりやすく説明したいと思います。
<RB3 アブソルート純正> ・18インチ 7.0J+55 ・センターホール内径 64.1mm ・タイヤ:225/45R18 91(外径659mm) <現行:ROJAM 19インチ> ・19インチ 7.5J+50 ・センターホール内径 73.1mm ・タイヤ:225/35R19 88W XL(外径640mm) <候補:ROJAM 20インチ> ・20インチ 8.5J+45 ・センターホール内径 73.1mm ・タイヤ:225/35R20 90W XL(外径665mm) ◆ インセットとツラ出し クルマのサスペンションは純正ホイールのインセットを基準に設計されています。
大幅にインセットを小さくしてツラ出しすると、わだちにハンドルがとられやすくなるなどクルマに大きな負担がかかります。
なので、基本はリム幅の拡大でツラ出しをして、インセットの変更は最小限に留めるというのが原則です。
原則というのは仕方ない場合があるということです。
インセットは変更しても10mm以内に留めておくのがよいですが、その意味では、質問者様のセレクトは理に適っています。
まず、ツラ出しについてですが、ツラの出方は以下のようになります・ 純正:7.0J+55(基準値±0mm)現行:7.5J+50 (純正より+11.35mm) 候補:8.5J+45 (純正より+29.05mm) フロントに現行、リアに候補を入れた場合は後輪が前輪よりも17.7mm出っ張る設定です。
現行でフロントがツライチ、リアが-20mmであれば「ツラ出し寸法」に関してはこれでOKです。
◆ 前後のリム幅の違いについて 特にFF車はアンダーステア解消等もあり、フロントに比べてリアのツラが引っ込んでいるクルマが多いです。
前後に同じサイズのホイールを履くとツラの違いが目立つため・・・ A.リアのインセットを小さくする B.リアにスペーサーを入れる C.リアのリム幅を拡大する ・・・などの対策をとることがあります。
ここまでのわたしの説明ではCがベストとなるはずなのですが、実はFF車の場合はNGなのです。
クルマに詳しい人間であれば皆さんNGだと思います。
というのは、FF車にはリアを太くする必然性がないからです。
実際にホイールメーカーのデモ車やミニバン雑誌等でこうしたドレスアップをしている車両がありますが、わりと冷やかな目で見られているということです。
しかも。
フロント19、リア20インチともなると、完全なる笑い者扱いになる恐れがあります。
センスよくまとめるならば避けたほうがいいです。
◆ タイヤサイズについて 車検ではメーターの誤差は±3%以内という基準です。
純正タイヤに対して現行タイヤは約▲3%ですので、車検に通らない恐れがあります。
候補タイヤの225/35R20は問題ありません。
純正:225/45R18 91 外径659mm 現行:225/35R19 88XL 外径640mm(▲2.9%) 候補:225/35R20 90XL 外径665mm(+0.9%) 但し、フロントに現行タイヤ、リアに候補タイヤを履かせると約2%の回転比が生まれます。
これによりABSや横滑防止装置が誤作動を起こす恐れがあります。
いざというときに安全装置が適切に働かなくなるのです。
基本的には純正が前後同じタイヤ外径であれば、交換するタイヤの大小に関わらず前後同じにそろえるのが基本です。
また、4WDモデルの場合は前後異径にするとデフ類が加熱して最悪の場合は車両火災になりますので物理的に前後異径はNGです。
◆ ロードインデックスについて ロードインデックス(以下、LI)とは耐荷重性能を示す指数です。
純正はLI 91で、最大空気圧2.4barまで高めるとタイヤ1本当たり615kgの耐荷重があるということです。
単純計算ですが4本で2,460kgに耐えますということです。
このLIはタイヤ内の空気容量が大きいほど高いLIが割り振られます。
インチアップをすると車輪全体ではホイールの体積が増える代わりにタイヤの空気容量が減るのでLIが下がってしまうわけです。
また、同じLIのタイヤでも、空気圧を高めることで、より高い耐荷重性能を得られます。
しかし、一般的なスタンダードタイヤの場合は最大2.4barまでしか耐荷重性能が保証されません。
なので、より高い空気圧にできるエクストラロードタイヤがラインナップされています。
タイヤサイズの末尾にXLという文字が書かれています。
これだと最大2.9barまでの空気圧が性能保証されます。
現行タイヤの88XLですと空気圧2.9barまで高めてギリギリか? いや、人が乗って急ブレーキなどを考えるとちょっと耐荷重性能が不足気味ですね。
やはりLI90程度はほしいところです。
純正:225/45R18 91 (615kg/2.4bar) →単純計算 2,460kg/4本 現行:225/35R19 88XL (560kg/2.9bar) →単純計算 2,240kg/4本 候補:225/35R20 90XL (600kg/2.9bar) →単純計算 2,400kg/4本 ◆ ではどうすればよいか? 質問者様の場合、後輪のツラ出しだけが課題ということであれば、今回は15mmまたは20mmのワイドトレッドスペーサーがベストです。
但し、装着にはホイールの裏側にボルト逃げが必要です。
ワイドトレッドスペーサー(以下、ワイトレ)は、インセットを大幅に狂わせてしまうので、クルマには負担が大きいのですが、フロントに比べてリアであれば影響が少ないです。
その他、ワイトレの問題点には剛性不足がありますが、これは以下の方法により補うことができます。
1.ハブ一体型のワイドトレッドスペーサーにすること ホンダのセンターハブ径64mmでPCD114.3×5穴のハブ一体型ワイドトレッドスペーサーにします。
ワイトレ専用ハブリング別売りのものもありますが、これよりもハブ一体型の方がはるかに剛性も精度も高いです。
2.ホイール側にもハブリングを装着すること ホイールのセンターホールの内径が73.1mmですので、それではホイールとセンターハブが噛み合いません。
「73/64」というサイズのハブリングを別途ホイールの中心に装着して隙間を埋め、センターハブを噛み合うようにします。
「ハブリングなんかいらない」という無責任な意見は一切無視してください。
センターハブを噛み合わせることにより、ホイールセンターをあわせるだけでなく、路面からの衝撃によるハブボルトの折損を防ぐストッパーになります。
ワイトレのボルトが折れている事例は多いので必ずセンターハブは噛み合わせてください。
3.素材を炭素鋼材にすること 車体のハブボルトが鋼鉄製の台座から生えているのに対して、市販で売られているワイトレはアルミ合金かジュラルミン製で、そのやわらかい台座からボルトが生えています。
自動車メーカーがハブをアルミにしないのは、コストの問題ではなくて剛性が足りないからなのです。
炭素鋼材でワイトレを販売している業者もあり、ワンオフでつくってくれるところもあるので、その場合色までホイールにあわせることができます。
アルミ製と比べてバネ下が重たくなったと感じる人はほぼいないと思います。
前後同じリム幅、同じ外径のホイールでインセットのみリアを約20mm少なくする方法もあります。
この場合は、前後のタイヤローテーションはタイヤをばらして組みなおすという作業が入りますが、こちらもよいと思います。
長くなり失礼いたしました。
ご参考になれば幸いです。