最近はどこも競技役員不足で困っていることが多いですが、 C級審判員の方なんですね。
お疲れ様です。
「あおり足」は、ダイビングでもウオーキングでも使われるし、 単に足の甲で水を蹴ることを指す人もいて、 ルール上の動作を表現するにはあいまい過ぎる言葉なのですが、 共通の認識の上で会話されていたのでしょうか。
日本水泳連盟のルールで違反となる「あおり足」が どの動作を表すのか確認するため 2014年以前と2015年以降のSW7.5について、 FINA(国際水泳連盟)と日本水泳連盟の表記を並べてみます、 【2014年以前】 FINA Swimming Rules 2009- 2013 「A scissors, flutter, or downward butterfly kick is not permitted except as previously described.」 日本水泳連盟 「 あおり足、バタ足および下方へのバタフライキックは 第8項の場合を除いていかなる場合も許されない。
」 【2015年以降】 FINA Swimming Rules 2013- 2017 「Alternating movements or downward butterfly kicks are not permitted except as in SW 7.1.」 日本水泳連盟 「 交互に動かすこと、下方へのバタフライキックは 第7条1を除いて許されない。
」 2014年以前の英語と日本語を見比べると、 「A scissors (kick)」「flutter (kick)」の訳が 「あおり足」「バタ足」であることがわかります。
「scissors kick」は、足を前後に開き、 前足の裏と後足の甲で水をはさむキックで、 「はさみ足」と訳すほうが自然なのですが、この動作は、 既に、日本泳法の横泳ぎで「あおり足」と呼ばれていたので、 この名称を採用したものと考えられます。
2015年以降では、文章としては、この部分が 「Alternating movements」「交互に動かすこと」になりました。
これは、違反を、なるべく、定義のあいまいなキックの名称ではなく 動作自体で直接的に表現しようとする流れによるものです。
それでも、「あおり足」「バタ足」=「scissors kick」「flutter kick」は 以下のSW7.4、SW7.5に抵触するので、依然として違反です。
SW7.4:両脚の動作は、同時に、左右対称でなければならず、 交互に動かしてはならない。
SW7.5:両足は推進力を得る際は外側に向かわなければならない。
いまだに、動作の不明確な『あおり足』という言葉で通達を出すあたり、 折り返し観察主任は、ルール改正の意味も、ルール自体も よくわかっていないのでしょう。
こういう曖昧かついい加減な通達について、私だったら、 以下のような質問をして、明確な回答を要求しただろうと思います。
それも競技役員の責任だし、選手も真剣ですから。
- この通達における『あおり足』とは、 FINA Swimming Rules 2009- 2013のSW7.5にある 「scissors kick」を翻訳した『あおり足』か。
- そうであるなら、左右非対称、内側に向かって推進力を得るという点で SW7.4、SW7.5に反する泳法を、何故失格にしないのか。
- そうでないなら、この通達の『あおり足』の定義はどこにあるか。
- この通達の『あおり足』が注意、指導の対象である根拠は何か。
- そもそも、何をどう注意、指導するのか。