匿名さん
元大洋の鈴木隆投手を知ってますか? 1959年 桜島の山ヒダがはっきりと浮び、海の青さが目にしみる鹿児島市外鴨池、その明るい感じの球場スタンドの外側・・・そこにいかにも急造といった感じのブルペンがしつらえている。
スタンドのかげになるせいで、文字通り日の当たらぬ場所ぜんとしているが、ここで秋山、権藤、大石が投げ、ノンプロ球界のナンバーワン、サウスポーだった鈴木が気負いたった表情でピッチングしている。
そして話題をまいた早大の桜井も、十八日にはここのマウンドを踏むことになっている。
鈴木ーこの1㍍75、65㌔というスマートな投手は、コーチ格である石本秀一氏から10勝はすると評価された。
事実、内角に食い込む速球はベテラン連中の手にあまるほど速い。
しかしカーブはまだそう投げていないが甘い。
極端にスピードが落ちてしまうのだ。
それに高めには伸びがあるのに、低めにきまる球にはそれがないことと、ドロップによる高低の変化がみられないことがさびしい。
迫畑総監督は「出来るだけ権藤とならんでピッチングをさせ、見よう見まねでドロップを覚えさせる」計画だという。
低めに球がいかないのはボールを放す瞬間、上体が反り気味になるためだ。
もう一歩上体が前にかかるようになれば、低めの球がきまり、彼自身の前途も開けてくるのだが・・・。
迫畑総監督は「昨年明大から入った関口も鈴木ぐらいの力はもっている」というが、ベテラン児玉は「関口よりずっとスピードがあるし投げ込んでくる度胸のよさはまた格別」と反論している。
結局、鈴木を現在支えているものはノンプロで着々腕をあげ、世界選手権で最高殊勲選手になったという自信であろう。
それだけにプロでうまくスタートが切れたら・・・、彼の速球は一段とさえてくるにちがいない。
迫畑総監督は「鈴木、大石、桜井の先発、秋山、権藤のリリーフ」という構想をもっているが、要は鈴木をいかに使ってプロになれさせるかである。
権藤は「鈴木は防御率2・5ぐらいにはいくでしょう。
そのくらいの成績ならウチのバックでは10勝というところですかね。
とにかく早く相手打者の欠点を覚えることです」といっている。
ピッチングを見ていると、とにかくやれそうな感じがする。
本人も「スピードをつけることとカーブをマスターしようと思っている」というが、威力のあるシュートをもっているだけに、前半戦はこれで活路を見出すだろう。
調子にのれば15勝に手がとどくと踏んでも過大評価ではなさそうだ。