匿名さん
元広島の大羽進投手を知ってますか? 1961年 五月十日の巨人との三回戦で、九回安打代打坂崎を三振にうちとって3-2で勝ったとき、田中捕手がとび上がって喜んだ。
マウンド上の大羽投手に藤村ピッチングコーチをはじめ門前監督や同僚が握手を求めた。
大羽は童顔をほころばせながら、ていねいに帽子をとってありがとうございましたと頭をさげていた。
ベンチに帰った大羽は報道陣にとり囲まれながらきょうはカーブ、シュートがよく決まったといかにもうれしそうだった。
三十四年にプロ入りして三年目、はじめて完投勝利を飾ったわけだ。
日大一高を出て大石(清水商高)井(日鉄二瀬)興津(専大)らといっしょに入団した。
ライバルの大石は昨年二十六勝をかせぎ、エースにのし上がったが、大羽の方は陰にかくれた存在だった。
ところが今シーズンは巨人に一勝してから二十日現在までに二十一試合に登板して六十三イニングを投げて5勝2敗、三振奪取三十七、四球十九、自責点十六で防御率は二・ニ五となかなかの好成績。
このうち、巨人からは昨年の大石に代わって三勝をあげ、広島にとっては巨人キラー。
高校時代は王(巨人)と肩を並べる好投手といわれていたが、どちらかといえばスピードはなく技巧派だった。
広島に入団してから藤村ピッチングコーチが、腕の回転を大きくするようにつきっきりで直した。
昨年までは二軍戦ではよく投げていたが、公式戦では、いまひとつ制球力に欠け、一、二軍を往復していた。
ところが、最近になってスピードが日増しにのってきた。
三年目にようやく日の目をみたわけだ。
大羽のピッチングはカーブ、シュート、直球に、落ちる球と四種類を使い分けている。
とくにスピードに変化をつけた落ちる球は決め球で各打者は手こずっている。
門前監督は「右打者の場合、内角に落ちる球が二種類あり、普通の投手のようにアウトコースへ投げて次はインコースへシュートを投げるのと違って、インコースと思えばアウトコースをつく、いわゆる打者の打ち気を誘って、うまくかわす。
間合いがよいとでもいうか・・・」とほめている。
いまの広島は長谷川、備前、河村が下り坂。
大石も調子が悪いときているので大羽の登場は救世主のようなものだった。
うつむきかげんにマウンドに登る姿は高校生のように素直で、グラウンド・マナーもよい。
広島は球団結成以来、左投手育成に力をそそいでいたが、ようやく実った感じ、長谷川のうま味を会得し、今の素質を生かしていけば広島の投手陣では将来一番期待をもてそうだ。
ただ欲をいえば連投できるだけのスタミナがほしい。
巨人の武宮コーチは「打てそうで打てない投手」と称している。
身長1㍍72、体重67㌔で野球選手としては決して恵まれた体格ではない。
みかけはスマートな青年だが、マウンドを踏むとシンの強い勝負根性をもっている。
二十歳。
大羽投手 最近は身体の調子が非常によい。
低目に球が決まっているときは打たれないが、高目にうわずるときは、打たれる。
いまのところ勝敗は考えずに、門前さんの指し図に従ってただ投げるだけです。
巨人の場合、いやな打者は長島さんと高林さんです。
巨人長島選手の話 今年とくに目立つことは打者とのかけ引きがうまくなったことだ。
打者の心理を読んで逆に攻めてくる。
うちのチームもそれでやられている。
直球に伸びが出ているので時たままじえるスローカーブも生きているように思う。
それに大胆でどの打者にも気おくれせず投げてくる。