匿名さん
元国鉄の大脇照夫投手を知ってますか? 1952年 セ・パ両リーグを通じて投手経歴の一番短いのが国鉄の大脇照夫であろう、野球では無名の滝実業を出てドラゴンズ入りを実現したが、テストで落とされて名鉄局入り、そしてスワローズに引き上げられ、今年が二年目という全くの新投手、シーズン前の噂では今年の国鉄は金田、宮地、高橋、古谷、田原、箱田、井上(佳)と投手が揃ったから相当戦えるということであったが、八月廿一日現在では、宮地、高橋、田原、古谷、箱田、井上(佳)の六投手でかせいだのが七勝、大脇一人で六勝という結果が出ている。
これに金田の十九勝が加わって五位にいるのだから大脇の六勝=名古屋と松竹に各二勝阪神と大洋に各一勝=は金星である。
この無名の新人が阪神、名古屋、大洋、松竹などをずらりとシャット・アウトで破っているのは・・・いつでも打てる球に見えるし事実よく当たっていると感じられるのにその実長打が出ない、また連続安打が出ない、いま打てる今度こそ打てると思っているうちに試合がすんでしまうのが原因である。
長身、スマートな姿、きれいなフォームで淡々と投げる大脇のピッチングには「威圧感」がない、ところがまり目立たないが球が速い、のびがいい、しかもその速球が低目低目と、内外角にきまるから、打てそうで打てない、これが大脇の身上であるが、投手経験の若さから、球を揃えすぎたり、腰の高さに球が寄ると、きれいな球だけに相手が打ち気に出ると打ち込まれる危なさがある、そうした経験から最近上手投げを多投する間、ときどき横手投げを用いるようになったが、同じ速球でもカーブでも上と横ではコースに変化があるので奏功しているようである。
完投した翌日は軽いバッティング、あるいは外野の練習を手伝う程度で休養二日目と三日目をピッチング、四日目登板が最好調という調整をしているが、事実は三日目にいい勝負をしているのも十九歳という若い力のためであろう、また若い投手はリリーフに立つ場合かなり長いウォーム・アップを必要とするが、大脇は強いウォーム・アップで登板している、これは筋肉が柔軟のせいであるが、今後も励行していい習慣である。
試合中最も多投している球はのびのいい速直球、これを十球のうち六、七球は外角へきめている、この球に威力があるので、どの打者もこの球をマークしている、そこで繰り出す武器はシュートでこのシュートに威力のある日はたやすく打てない、かように球威とコースで戦っているようなものだからチェンジ・オブ・ベースの修練までいかない、それに経験が浅いから投手付近に飛んで来る球の処理がよくない。
現在はコントロールをよくすること、さらにもうひと風スピードを増すことに専心している、操作している球種は速直球とスライダー、カーブ、シュートの四種、肥える体質のようだから、あとは一貫ほど体重がふえたら一段と球速が乗るだろう、既成型ではないが将来の楽しめる投手の一人であると思う。
大脇照夫 ぼくのピッチングはぼくが一番よく知っているつもりなのですが、中沢さんの文章を読んであらためて教えられるところが多いのに驚きました、人の長所や欠点はよく目につくのに案外自分のことはわかっていないものですね、中沢さんのいうように三日目の調子が一番よく球速もかなり出るし、アウトローへびしびし投げ込めます、いつもこのくらい投げられればシメたものですが・・・「最近横手から投げるように・・・」といわれていますがこの投げ方はずっと以前から練習していたもので最近投げはじめています、これはチェンジ・オブ・ベースCというぼくの最大の欠点を少しでも直したい心からです、まずシュートをよくきかせ、カーブにも威力が加わったら、いま覚えかけている沈むシュートをマスターしたい、これができたら来年はBくらいにして貰えるでしょう、プレート度胸はAですがまだ一点を争う試合には固くなりますよ。