うちは母子家庭で貧乏だった。 母は小さな個人の文房具屋でパートをしてて、お世辞にも余裕のある家庭ではなかったと思う。 ある日、母が勤め先の主人から野球のチケットを貰ってきた。 野球少年だった私が喜ぶだろうと母はサプライズを仕掛けたのだ。 普段はあまりお目にかかる事のない唐揚げやウィンナーの入った豪華な弁当を持って遊びに行こうと。 電車に乗って向かった先は後楽園球場。 いざ入場しようとしても入場する事は出来なかった。招待券ではなく割り引き優待券だったのだ。 母は言った。「ごめんね、給料前でもう帰りの電車賃しかないや。母さんバカだね。」 結局近くのベンチで弁当を食べて帰った。私としてはそれでも豪華な弁当が食べれて嬉しかったのを覚えてる。 30年後、母が癌で余命宣告を受け、いよいよ最後の時かと言う時に声を振り絞って言ったんだ。 「野球、見れなくてごめんね。」 こんな時に何を言ってんだ。もっと話したい事とかあるだろうよ。 間もなくして母は息を引き取った。 今は年に2~3回、妻と子供を連れて野球観戦に来る事がある。 唐揚げとウィンナーは必ず入れてくれと妻にリクエストするんだ。 これを読んで、泣いちまったのですが、みなさん如何ですか? 質問になってないですよね。 泣くの変かなと思って。でも感動したんです。