元西鉄のニコラス選手を知ってますか? 1971年 西鉄・ホセ・V・ニコラス外野手(31)の評判がいい。といってもまだ試合には出ていないが、来日以来の練習を見て稲尾監督ら首脳陣は「後半戦の楽しみが出来た」とよろこんでいる。二十二日、小倉での東映戦は雨で流れたが、このゲームで五番、ライトでデビューするはずだった。20勝にも達していない西鉄にどれだけの貢献をするか。「アルトマンやロペスが活躍しているそうだがオレの方が力は上だ」入団の記者会見でちょっとミエを切ったが、その後はあまり大きな口をたたかない。しかし、外人選手が必ずいう「日本の投手は変化球が多い。コントロールがいい」というありきたりのほめ言葉もいわない。すました顔でいう。「野球に変りはないじゃないか。ストライクを打てばいいんだろう」デトロイト・タイガースのファーム3Aトレドで「若返り」の方針からはみ出した。別に故障もない。青木代表と稲尾監督はニコラスの話になるとニコニコしだす。来日までは「いまごろくる外人なんてあてにならん。バクチだな」(稲尾監督)「ことしはテスト期間。活躍ぐあいによって来季の契約を・・・」(青木代表)といっていたのとはえらい違いだ。こんな状態だったから、条件も契約金こみで約五百四十万円ですんだ。任意引退したボレスを打ち切った今シーズンの参か報酬をあててもおつりがくるそうだ。平和台での練習中、外野で短距離競走をやった。パートナーはチームでもトップ・クラスの俊足の橋野。スタートで出遅れたニコラスは途中からダッシュして追いついた。「俊足の外人は珍しい」そのときのナインの一致した意見だった。バッティング・フォームは極端なクローズド・スタンス。手首が柔かく、レベル・スイングだからライナーがとぶ。関口コーチは「でっかいのはとばないが、二塁打や三塁打が多いだろう。外野の競争が激しくなり、刺激剤となる」という。東田、高橋二、ポインター、阿部らとのポジション争いは見ものだ。ドミニカ生まれの独身。福岡市内のホテル住まいをしているが「ステーキがうまくて日本人は親切だ」と生活には満足している。目下、地引き片手に日本語の練習中だが、最初に覚えたのは「コンニチハ」つぎがお金の勘定で、三番目が「オンナ」独身の外人選手はヒマをもて余して遊びすぎ、コンディションをくずす例が多い。首脳陣がいま心配しているのは、この点ぐらいのものだ。西鉄は案外いい拾いものをしたのかもしれない。