以前、ロシア車が欲しくて色々調べたことがあります。
1960年代だと、まさにトラバントですね。
1958年誕生。
資料によって多少の揺れはありますが、 ・横置き2気筒600cc25馬力+4速MT ・FF ・重量600kg ・ラダーフレーム+FRPボディ あたりが標準のようです。
1963にはポルシェ911初代が誕生してますし、1965頃にはヨタハチやらエスハチやらも産まれてます。
ただし、日本の軽自動車で見れば、ほぼ10年後の67年にやっとN360が誕生。
実用小型車としては、「せいぜいそんなもん」という解釈でよろしいかと思います。
同時期のミニは850ccで34馬力だから、完全に1ランク上の車です。
(それでも、排気量比を考えればトラバントはミニのエンジンと同程度の効率を誇っていたとも言えますが。
ヨタハチは800ccで28馬力。
エスハチは800cc70馬力。
) トラバントは当時の「小型実用安価車」としては、「まあ、そこそこ」レベルだったと考えていいと思います。
だいたい、名前の由来である人工衛星を、お仲間であるソ連は打ち上げていたわけですから技術力に不足があるはずがない。
チューンドカーではありましょうが、確かモンテカルロのラリーを完走したとかって例もあったはず。
絶対的な生産数が凄まじく少ない中で、それだけのモノがあった、生き残ったというのはなかなかの事ではないかと。
(やたらと出場したミニが好成績を、とかとは次元が違うのではないかと) もちろん63年には911が出てますけど、こんなのと比べる方が無理ではないかと。
そもそも方向性が違います。
(現代の軽トラとカイエンを40年後に比べて、「あの頃の日本ってこんなのが走ってたんだぜ、カイエンが走ってた時代に。
」とか言わないのと同様) というわけで、「そこそこな小型実用車を安価に」というコンセプトに照らし合わせれば、「けっこういい線いってた」んじゃないかなと。
もちろん、そこから1990年代まで進化しなかったというのは事実ですが、それはまた別の問題ということになりましょうか。
ちなみにここから先は蛇足ですが…。
ロシアのuazのバン(3909)あたりは、21世紀初頭生産のモデルまでクランク棒による手回し始動が可能だったそうで。
なぜって、「一晩置いとけば、あまりにも寒すぎてバッテリーが(どれほどマトモであっても)死ぬ。
だからクランク棒が必要でしょ」なんだとか。
隣の家まできっと20kmとか離れてるような広大な土地で、「朝起きたらバッテリーが凍ってて動けない」は死とイコールかもしれません。
そんな中では、「進化していない」のではなく、「場所に応じたスタイルで生き残った」という感じじゃないのかなぁと。
他にも、ピストンとシリンダーのクリアランスとかがやけに大きめにできているが、これは精度が悪くてコレ以上上げられない、というわけだけでもなく、 「マイナス40度を下回ると不凍液でも凍っちゃうでしょ、凍っちゃうとブロックが割れちゃうでしょ、だから水は抜くでしょ、抜いた状態でも短距離の自走くらい出来ないと不便で仕方がないでしょ、だからクリアランスは多めに要るでしょ」とかって要因もあるのだとか。
トラバントは経済規模の関係上「進化できなかった」系でしょうが、ソ連~ロシアくらいの規模だと「あえて進化しなかった」もあり得るようです。