元東京の坂井勝二投手を知ってますか? 1964年 プロ入り六年目で初の20勝を飾った坂井には今秋結婚を約束したフィアンセ藤田好美さん(19)がいる。東京・文京区原町にある藤田さんの家に坂井が下宿したのが知り合ったきっかけ。昨年秋には福岡にいた両親を呼んですぐ近くへ新居を構えた。だがいまでも東京で試合があるときは好美さんが愛車のコロナを運転して坂井を迎えにくる。登板するときは好美さんは必ずスタンドから応援する。チームメイトのだれもがうらやむような仲のよいカップル。「彼女がみていたからといって別にどうということはないね」と笑うが、坂井の20勝のあとを球場別にみてみると東京は12、日生3、大阪2、神宮、後楽園、平和台1と圧倒的に東京地区で多い。坂井は「家から出てくる方がからだの調子でも、気分的にもずっと落ち着けますからね。それで東京の方が勝てるんでしょう」とテレながら弁解した。ニックネームはミーコ。長いマツゲと柔和な顔立ちからついた。マウンドでの往復のときもションボリと肩を落として歩く。女性的な坂井のどこに20勝の力が秘められているのかと首をかしげたくなる。「ぼくはよけいな力は使わないようにしている。だからみんなにファイトがないなどとおこられるんですよ。きょうも初回に大量点してくれたからリキまずに投げました。19勝あたりでウロウロするのではないかと思ったらあっさり勝たしてもらっちゃった。自分でもよく20勝できたと驚いている。もちろん初めてですからうれしいですね」とそれがクセの長いマユゲをパチパチさせた。昨年の14勝が最高。ことし20勝できた理由は「小山さんが入団したことによるライバル意識」と「いままで夏場に勝てなかったが、ことしはオールスター後5勝2敗とシーズンでも一番調子がいい。小山さんに夏バテの調整法をいろいろと聞いてそのとおりにやっているのがいいのかもしれない」のだそうだ。こんなところにも小山の東京移籍のプラスはあった。大阪・天満橋の宿舎満寿美に帰った坂井はさっそく好美さんに電話をかけ、20勝の報告をした。