登山で道具に頼るか頼らないかは趣味の話だと思っています。 登山に使う道具は様々あり、道具も技術も日々進歩しています。 過去、アイゼンが発明された当時は「そんな道具は使えない」とか「簡単になりすぎる」などとバカにされたそうですが雪山登山では必須の装備です。現在はアイゼン以外もウェアや火器、ザック、撥水ダウン、テントなどもハイテク素材で出来ています。軽量、撥水、防水透湿、薄くて丈夫、などなど。ついに蜘蛛の巣と同じ素材で出来たウェアなんてのも開発されました。軽くて丈夫だそうです。 登山の歴史は技術革新と道具の進歩に支えられてきたと言って過言ではありません。 一方で新しく入ってきた道具は冷遇されがちです。特にGPSはその効用を考えればもっと普及して良いと思うのですが、弱点ばかりが喧伝されているように感じます。 登山熟練者や高齢登山者が言いがちな事(そんなに多くはないですけどね)。 ・そんなもんを使っていたら地図読みが身につかない。 ・GPSみたいな安易な道具を使って山に登ってなにが楽しいんだ。 ・電池が切れたり壊れたらどうするつもりだ。 ・GPSのせいで安易に山に入る登山者が増えるだろう。 ・間違う事もある。鵜呑みには出来ない。 ・きちんと地図をコンパスで現在地を特定し続けろ。 一理はありますがそれ以上のものは無いと思います。 ・GPSを使いこなすには地図読みの技術は必要ですし地図読みの学習教材にもなります。役立て方次第です。 ・ゴアテックスのウェア、保温性が高いのに軽い登山靴、小型軽量の火器などとGPSって本質的になにが違うのでしょう?ハイテクの好き嫌い? ・モバイルバッテリー、予備機、紙の地図とコンパスなどバックアップを持つかどうかの問題です。 ・アイゼンにしろピッケルにしろ、正しく使い方を習わなければ危険なのは同じです。問題は学習不足にあります。GPSに関する情報は大量に提供しています。 ・最近ではスマホでも高精度に現在地を出せます。人間より正確です。精度が下がるシチュエーションはありますが限定的です。今後も進歩していくでしょう。 ・短時間で現在地を同定出来るため行動時間が短縮されます。登山では行動時間を短くすることは安全に繋がりますから、大いに安全に寄与する装備だと思います。 困難な登山、登攀というのは楽しいものです。安易な登山とはやり遂げた達成感が違います。わざわざ厳しいルートや季節を選ぶ、一人で行く、条件を付ける、などなど、わざと困難な方法を選ぶ気持ちも分かります。ガストン・レビュファも『三日間、わたしたちは難場、寒気、嵐など、人間に刃向かうものにしか遭遇しなかった。~中略~ そしていま、わたしは晴天の時に成功したアイガーの貧しさを思うのだ。』なんて言ってます。嵐すら楽しむ感覚です。 ただ、それって趣味の問題ですね? 結局、自分の手足で登って降りてくれば登山だと思います。どんな道具や技術を使っても登って降りてくればいいわけです。『厳冬期無酸素単独』とか『冬季単独テントアイゼンなし(普通に怒られそうですね)』とか『夏期パーティ小屋泊まりGPS使用(わざわざ言わないでしょうけど)』とか、色んな登山があります。 そこには価値があり硬派な登山もあればカジュアルで軟派な登山もあるでしょう。しかし、その善し悪しは趣味の問題です。多くの人はそんなストイックな称号を欲さず、単に楽しく登山出来ればいいわけです。 GPSを使った登山は易しすぎてつまらない。はい、そうでしょう、そうでしょう。現在地がすぐ判る威力と楽しさは絶大です。一度使ったら手放せません。 ではゴアテックスや軽量テント、最新のザックもやめてキスリングのザックにビニロンのカッパ、キャンバス地のテント、ラジウスのストーブを担いで旧帝国陸軍の地形図で登山してはどうでしょう?重さと困難さが加算されて登山の価値が上がるかも知れません。 無茶で嫌味な事を書いています。しかし、新しい装備を否定するという点では同質のことを書いています。 現にある道具を敢えて使わない、それは趣味の問題です。最新の測量結果から作られた精巧な地形図とGPSってハイテク具合からしたら大差ありません。ゴアテックスを着ていて最新の電子機器を使った登山はつまらないという、これは完全に好き嫌いであり、趣味性の問題です。過去にアイゼンを否定した人達と変わりません。 さて、みなさんどう思いますか? ハイテク(というか主にGPS)を批判する人の根底にはなにがあるんでしょうか?新しいものを理解出来ないから?自分が苦労してきたことが簡単になりすぎて悔しい?チャラチャラした連中が気に入らない?GPSの効果が絶大すぎて登山の本質が変わってしまうから?