ホンダ・N-ONE
ホンダ・N-ONE
N-ONE(エヌワン)は、本田技研工業が生産、販売するトールワゴン・セミトールワゴン型の軽自動車である。
N-ONEは2011年12月に発売したN-BOXから展開を開始した、軽自動車シリーズ「Nシリーズ」の第3弾として、2012年11月に登場。ゼストの後継車でもある。
ホンダ初の市販軽乗用車N360をモチーフに「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」の基本思想であるM・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想を受け継ぎ、新しいベーシックカーの創造を目指して開発された。LPLは、N BOX(当時)と同様に浅木泰昭が務め、生産もこれら同様、三重県にある鈴鹿製作所が担当する。
2011年に開催された第42回東京モーターショーに、『N CONCEPT 4』として出展されたモデルの市販モデルである。
全高は1550mmを越え、N-BOXやライフなどと同じ軽トールワゴンに分類されるが、これらの車種に比べて全高が低くなっており、個性と先進性を表現したハッチバック(2ボックスセダン)風のスタイルとなっている。また、2015年にはかつての軽セミトールワゴン規格に当たる低全高モデル(LOW DOWN)が追加された。
Nシリーズの関連商品を扱う「N STORE」では、N-ONEの実物大と1/9サイズのペーパークラフトを公開している。
エンジンやトランスミッションは(JF1/2型)N-BOXと同じく、S07A型エンジンとCVTを採用している。アイドリングストップシステムも搭載し、駆動方式を問わず「平成27年度燃費基準+20%」を、ターボ・FF車は「平成27年度燃費基準+10%」を、ターボ・4WD車は「平成27年度燃費基準」をそれぞれ達成している。エンジンはN-BOXと型式やスペック上の変化はないが、燃焼室周辺の冷却効率向上により点火時期を進めた他、クランク軸・カムジャーナル・サイレントチェーン背面の鏡面仕上げなどによるフリクション低減などの改良で、エンジン単体での燃費も向上させている。
また、急ブレーキ時にハザードランプを自動的に高速点滅させて後続車に注意を促すエマージェンシーストップシグナルを軽自動車としては初めて全タイプに標準装備するとともに、N-BOX同様、VSA(車両挙動安定化制御システム)とHSA(ヒルスタートアシスト機能)も全タイプに標準装備している。
初代モデルの販売終了から約7ヶ月のブランクを経て、発売8年目にして初めてフルモデルチェンジされた。
初代モデル(LOW DOWN仕様)のスチール製部分のパネルを流用して外観を引き継ぎながら、バンパーやグリルを垂直に立てつつバンパー下部の造形が変更され、リアは左右のバンパーコーナーに向かって水平に広がるラインに横長のリフレクターが配された。また、全高はFF車は初代モデルの「LOW DOWN」や「RS」と同じ高さとなる1,540mmに統一され、4WD車は初代モデルよりも60mm低くなった。このため、2代目からは事実上当車種そのものが軽セミトールワゴンにカテゴライズされることとなった。
LPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)は宮本渉。
エンジンはS07B型に換装。スペックは初代モデルのS07A型とほぼ同じだが、WLTCモードによる燃料消費率及び排出ガスに対応(燃料消費率はJC08モードも併記)し、「平成30年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得した。
トランスミッションはCVTに加え、6MTを設定。S660同様にギアレシオをクロスレシオ化されており、クラッチにはS660同様に大トルク対応型を採用しているが、操作荷重を変更するなどのチューニングがされたほか、クラッチペダルの急操作の際にクラッチ継合速度を低下させてエンジントルクの急激な伝達を回避するピークトルクリミッターやダンパー機構によりクラッチペダルに伝わる振動を軽減するクラッチダンパーが採用された。また、シフトノブはN360同様にインパネに配置され、S2000ベースの専用デザインとしている。
初代モデルでは2014年5月のマイナーモデルチェンジから装備されている安全装備については、2代目モデルでは安全運転支援システム「Honda SENSING」に強化された。2代目N-ONEでは、衝突軽減ブレーキ(CBMS)、歩行者事故低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)、オートハイビームで構成されており、ACCとLKASは軽自動車の6MT車では初めて装備される。CVT車はこれらの機能・装備に誤発進抑制機能と後方誤発進抑制機能が追加され、ACCが渋滞追従機能付となる。
また、2代目N-WGNに採用されたパーキングセンサーシステム、オートブレーキホールド機能、電子制御パーキングブレーキが装備されたほか、後席ドアの開閉履歴をもとに、荷物の置き忘れや乗員の存在をマルチインフォメーション・ディスプレーの表示と音で知らせるリアシートリマインダーを軽自動車で初めて装備された。
N-BOXと同様に「N」はホンダ初の本格的量産4輪モデルである「N360」の「N」をモチーフにしている。また、「New」「Next」「Nippon」「Norimono([乗り物)」のそれぞれの頭文字も含め、「これからの新しい日本の乗り物を創造する」という意味合いも込められている。
「N」と「ONE」の間には-(ハイフン)が入っている。発売当時、N-BOXにはハイフンが入っていなかった(「N BOX」)が、2013年12月のマイナーチェンジに伴ってハイフンが入り、N-ONE、N-WGN、N-BOXとシリーズ内での車名表記が統一された。
ホンダでは2014年より、N-ONEによるワンメイクレース「N-ONE Owner's Cup」を運営している。トヨタのネッツカップ・ヴィッツレースなどと同様の「ナンバー付き車両」によるレースで、市販モデルの車両にロールケージ・4点式シートベルトなどのレース用装備を装着することで参戦が可能となっている。
初年度の2014年は、鈴鹿サーキット・ツインリンクもてぎなど全国7サーキットを転戦するかたちで全10戦(エキシビション2戦+シリーズ戦8戦)が行われた。
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