いわゆるゾーンに関する質問だと思いますが、最大心拍の95%はZ5に相当し、生理学的には「心臓の組織の破壊が懸念されるレベル」と称されます。
ロードレースでは全力スプリント相当の心拍数であるため、それを長時間維持できるというお話自体が本当かどうか疑問です。
生理学的な定義にそぐわない以上、その方は実のところ、もっともっと高い心拍数を出せる余力がある可能性が高いです。
私の勘ですが、もしかするとその方は、最大心拍を年齢から算出しているのではないでしょうか?年齢を用いた計算法はあくまで目安であり、実際には体格や体質によってかなりばらつきがあります。
その方には改めて、ヒルクライムレースとは別途、最大心拍の実測値をきちんと測定してもらってみて欲しいです。
最大心拍の測定ではかなり長い距離をスプリントしますから、酸欠で視界が暗くなり、倒れそうになるような感じになるはずです。
高い心拍についてです。
まず、心拍数の絶対的な評価というのはあまり意義がありません。
話を心臓に限局するなら、有酸素運動のパフォーマンスに直結する指標は心拍出量です。
一般に言われるスポーツ心臓では心臓が一過性に拡大した状態を言い、拍出の回数を拍出する量で代償します。
特に安静時心拍が下がることは有名ですが、運動時も同じことが起きます。
シーズン中はシーズンオフに比べ、同じ強度の運動を行っても心拍数はやや低く抑えられ、拡大した心臓がより多くの血液を一度に送り出すのです。
これを踏まえると「高い心拍数を長時間維持できる」=「良い」という考え自体が誤解であると気づきます。
実は最大心拍数は生まれながら上限があり、20歳以下の時の過ごし方や年齢によって多少変わることはあり得ますが、それでも大きく変化するというものではありません。
インデュラインの安静時心拍が極めて低かったという逸話をご存知でしょうか。
また、ヒンカピーは生まれつき心拍数が高く、30歳を過ぎてもZ4が200近くあったと言われていますよね。
しかし、あのフルームのZ4は確か140-150前後だったはずです。
何が言いたいのかというと、一流のプロ選手の心拍数でさえ、選手間で比べても何の法則性も見いだせないということです。
ゾーンの考え方はあくまで本人の中での話であり、他者との比較ではないのです。
他者との比較はちまたで言われているように、客観的な出力(ワット数)や出力体重比(w/kg)であるべきです。
インデュラインは引退した後、安静時心拍が通常の人と同じ値に戻ったと言います。
競技者の心肺機能に求められていることはまず、毎日トレーニングに励んで酸素の交換効率や心拍出の効率を高く維持することであり、その判断材料のパラメーターとしてVO2や心拍数があるというだけです。
心拍出量が直接的に測れればちょっと面白そうですが、全くもって簡便ではありませんし、そこまでする意味もないでしょう。
「私はどんなに激しい運動しても、足の疲労よりも呼吸が先に苦しくなって困る!」と訴える人がもし居れば、心肺機能を特別に高めるトレーニングの必要性を真っ先に考えるでしょう。
しかし実際にはそういうニーズを抱えた人はほとんどおらず、居るとすればそれは、元喫煙者や喘息持ち、心疾患などの器質的な問題を抱えている病人か、逆に極限まで身体を鍛えぬける一流選手のどちらかです。
これはVO2maxを理解すればすぐに分かることです。
結局のところ、大半のアマチュアライダーは自らの呼吸機能を最大限に生かせるほどのパワートレーニングを実現できていないので、心肺機能を過分に心配する必要はないと思います。
(ダジャレ言ってすみません) レース頑張ってください!頑張りましょう!