匿名さん
元大洋の森田斌投手を知ってますか? 1964年 大洋の森田が九日の国鉄戦(川崎球場)で今シーズン初めて一軍ベンチへはいった。
川崎トキコから入団して三年目の森田は、昨年21試合に登板して中日、国鉄にリリーフで勝ち、2勝3敗という成績を残したが、ことしは開幕から、ずっとイースタンに参加していた。
イースタンの成績は、4勝4敗。
完封勝ちの1勝をふくめ、4勝のうち3つの完封勝利と腕を上げている。
森田は、「スライダーの切れがよくなったかナ。
ファームで鍛えられたお陰で随分やせたけど、タマは走り出したよ」とご機嫌だ。
1メートル72、72キロと大きくはないが、森田の球はいわゆるひねくれダマ。
内角へ直球を投げてもナチュラル・シュートになってしまう。
晴れて一軍入りは果たしたものの、首位攻防の渦中だけに今後も登板のチャンスはなかなかつかめないだろうが、リリーフ・ピッチャーとしては面白い存在になりそう。
ひょうきん者の森田の参加で大洋ベンチはまた一段とにぎやかになった。
というのは、最近この森田が、プロ野球選手や代議士名鑑を手に東京都や神奈川県の名士の留守宅を片っぱしから訪れ、寸借サギを働いていた前科三犯のサギ犯人をつかまえるという大手柄をあげ、これが明るみに出たからなおさらのこと。
去る八月二十二日、横浜市港北区篠原町にある森田の自宅へ犯人が、「森田君の川越工業高校(埼玉県)時代の教師だ。
川崎の工場見学にきたついでに寄ってみた」といって和子夫人を言葉たくみにだまして、金を借りようとしていた。
ちょうど練習が早目に終わって帰ってきた森田とバッタリ。
驚いたのは森田。
犯人のいう手塚先生は実在するが全くの別人。
あわててそわそわしだして振り切るように立ち去ったそうだ。
今度は森田が神奈川署に電話する一方、快足をとばして追いかけ、近くのバス停留所にいた犯人をつかまえ、駆けつけた同署員に引き渡したというのがこのお手柄のいきさつだ。
この犯人は四万円ととられた渋谷(国鉄)をはじめ小野(東京)箱田(大洋)、伊藤、中村(巨人)毒島(東映)や広島の白石監督からも寸借サギを働いていたしたたか者だったという。
森田は「プロ野球選手を食い物にしていたヤツと聞いてスカッとした。
それにしてもやあ森田君、しばらくといわれて肩をたたかれたり、手を握られた時はビックリしたヨ」という。
サギ男を好く好捕した森田、「今度は本職の投げる番だ」と張り切っている。