同銘柄でタイヤ幅を広げた場合、タイヤにかかる荷重が同じであれば、発生する摩擦力は同じです。
しかし、荷重をかければかけるほどグリップが上がるわけではなく、限界を超えると摩擦力は低下していきます。
太いタイヤの方が、その荷重の限界が高いため、特にコーナリング等の限界付近での走行性能に差が出ます。
コーナリング中は外側のタイヤに荷重が集中します。
例えば、ブレーキングしながら右コーナーに入ると、クリッピング手前までは左前輪に大きめの荷重がかかり、クリッピングポイントでは、その荷重は左側前後輪に分散されます。
次にクリッピングを超えると加速領域となり、荷重は左後輪に多めに掛かりますが、後輪駆動車は後輪でトラクションと左右のグリップを担います。
仮に、ここでの左後輪への荷重が600kgだったとします。
例えば、細いタイヤの最大摩擦が610kgの荷重で発生、太いタイヤ最大摩擦が650kgで発生する場合、細いタイヤでも太いタイヤでも挙動変化はあまりないでしょう。
しかし、細いタイヤの最大摩擦が590g、太いタイヤのそれが630kgだとしたら、細いタイヤはスライドをし始めるということです。
つまり、限界に至るまでは細くても太くてもあまり差はないのですが、細いタイヤは限界付近に達したときに滑り始めますが、太いタイヤはまだ滑らない=コーナリングの限界速度が高くなるということです。
結局クルマの挙動というのは、限界付近での挙動変化をジャッジしますから、タイヤの太さと限界性能はリンクします。
それがゆえ、静止状態でフロント荷重の方が重たいFR車であっても、後輪のタイヤサイズが太くなっているケースが結構あります。
そのような仕様はハイパワー車であることが多いです。
ハイパワー車の場合、スピードが出た状態でのコーナリングを求められるので荷重移動も大きいです。
荷重移動が大きいということは、片輪に荷重が集中しやすくタイヤのグリップの限界を超えやすくなるので太いタイヤが必要になります。
また、タイヤのグリップは横方向で使い切ってしまうと縦方向には使えません。
なのでハイパワー車ほどグリップの限界に余裕がないとアクセル踏んでも前に進まないということもあります。
一方で、タイヤはできる限り細い方がクルマの効率性は上がります。
先ほど、タイヤが細くても太くても限界の手前では同じ摩擦力と書きましたが、実際には太いタイヤの方が空気抵抗が大きく、重量も大きくなります。
従って、細いタイヤの方が無駄が少ない分タイムも早く燃費もよくロードノイズも少ないです。
なので必要以上に太いタイヤを装着するのはクルマの性能低下になってしまいます。
同じタイヤの太さでも、車重を軽くすることでタイヤの最大摩擦を生み出す限界荷重までの余裕が生まれるので実質的に限界値が高まります。
なので軽量化により細いタイヤでも高い限界性能を発揮できるようになります。
また、同じ車重でも、重心をできる限り低く、ロールセンターを高めにすることにより、荷重変化の少ない車両を作り出せます。
つまり、コーナーで外側タイヤに荷重移動する率を低めて、内側のタイヤへの荷重を残して内輪グリップも利用できるようにすると、コーナーの限界も高められます。
そうするとより細いタイヤで勝負できるようになります。
この状態で太いタイヤを履かせればさらに限界が高まるというわけです。
レースカーなどはこのような原理で限界性能を高めます。