しっかりとご説明いたします。
■ ハブリング まず「ハブリング」ですが正式名称は「ハブセントリックリング」です。
英文では "Hub Centric Ring" と書きます。
「ハブ中心のリング」という意味ですね。
日本ではこれを略して「ハブリング」と呼んでいます。
「ハブ」とはホイールを装着する車体部分で、V36の場合は5本のハブボルトが生えています。
そのハブの中心にある円形の出っ張りが「センターハブ」です。
V36はこのセンターハブの外径が66.0mmの凸となっています。
純正ホイールの裏中心には内径66.1mmの穴凹が空いており、この凸凹が噛み合うことにより、ホイールセンターを合わせるだけでなく、路面の衝撃からハブボルトの折損を防ぐストッパーになります。
しかし、市販の汎用ホイールは、ハブ穴が73.1mmの凹となっており、ブカブカで噛み合いませんので、ハブリングを装着することでセンターハブを噛み合うようにします。
質問者様の場合は「73/66」(外径73.0mm×内径66.1mm)というサイズのハブリングとなります。
よくハブリング不要などと言う人がいますが、極めて無責任な意見ですので無視してください。
本当に不要だったら自動車メーカーだって各社サイズバラバラのこんな面倒くさいもの設けません。
少しお話しが反れましたが、スペーサーの有無にかかわらずセンターハブはきちんと噛み合わせる必要があるということで、センターハブ周りに隙間があったらハブリングは必須ということです。
■ ワイドトレッドスペーサー 車体のハブから生えているハブボルトの長さが25~27mmあります。
従って、20mmのワイドトレットスペーサー(以下「ワイトレ」とします)を装着する場合には、ハブボルトの頭が5~7mm突き出します。
なのでホイール側に「ボルト逃げ」がないと装着できません。
ボルト逃げとは、ホイール裏のボルト穴とボルト穴の間にある凹のことで、多くの社外ホイールには設けられています。
WORK DD5.2にもあるとは思うのですが、そのボルト穴の深さが6~8mm程度ないと20mmのワイトレは装着できません。
それを前提にセンターハブを噛み合わせる方法は3通りあります。
(方法1) 汎用ワイトレ+ワイトレ専用ハブリング+ホイール用ハブリング 汎用ワイトレは、ワイトレの中心の内径が73.1mmになっています。
この内径にハマるように汎用ワイトレ専用のハブリングが出ています。
こいつの20mmスペーサー用ハブリング「73/66」を用意します。
これを装着するとホイール取付面のセンターハブ径は66mmの凸になります。
ホイール側のハブ穴内径は73.1mmですから、その隙間を埋めるために、ホイール側に73/66の普通のハブリングを装着するということです。
(方法2) 汎用ワイトレ+社外ワイトレ専用ハブリング 上記(1)の方法で、ホイール側に取り付ける普通のハブリングをわざわざ使わずに、ワイトレ用ハブリングで代用してしまう方法です。
「社外ホイール用ハブリング」の「73/66」を用意すれば、ハブリングはこれひとつだけで大丈夫です。
但し、この状態で純正ホイールは装着不可ですのでご留意ください。
以下のサイトにある「純正ホイール用ハブリング」が(1)の説明のもの、「社外ホイール用ハブリング」が(2)の説明のものです。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/aps-charge2015/hb-a.html (方法3) ハブ付ワイトレ+ホイール用ハブリング 上記(1)(2)ともに精度も剛性も甘いです。
なので、初めからハブ付のワイトレを用意する方がより安全です。
73/66のハブ付のワイトレを選び、ホイール側に73/66のハブリングを装着します。
ワイトレを使うのであれば、この方法がベストです。
以下のようなワイトレです。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/partshouse04/ph4969.html ■ ワイトレの危険性 ここまで書いておきながら、実は質問者様の場合はワイトレは装着すべきではないと思っています。
専門的なお話しも入りますが、できる限り分かりやすくご納得頂けるように説明したいと思います。
(1) 剛性不足 車体のハブは頑強な鋼鉄製の台座でハブボルトを支えています。
一方、市販のワイトレは鍛造とはいえジュラルミンまたはアルミ合金といった柔らかい素材でできており、その柔らかく不安定な台座でハブボルトを支えホイールを固定します。
自動車メーカーがハブにアルミ合金を使わないのはコストの問題ではなくて、剛性が足りないからであり、高額な車両でもハブは鋼鉄製になっています。
ワイトレの場合は、どうしてもワイトレから生えたハブボルトの付根部分が弱いのです。
なのでセンターハブを噛み合わせても、制動や加速の度にその負荷はワイトレのハブボルトの付根を襲うので、緩みや金属疲労が進みやすいわけですね。
検索するとハブボルトが折れたワイトレの事例沢山出てきます。
通常走行は大丈夫だったとしても、縁石にタイヤをヒットしたり事故の時に車輪がもぎ取れて、それが二次災害に及ぶ危険性が高まります。
二次災害とは車輪が反対車線に転がり多重事故を招いたり、転がった車輪が人を襲撃したり、車輪が取れたために自車がコントロールを失いガードレールを突き破って崖下に転落したりなどのシーンを想像すると分かりやすいと思います。
従って、ワイトレのパッケージには「公道使用不可」との文言が書かれています。
そのような悲惨な状況になっても、ワイトレメーカーは一切責任とりませんということです。
保険会社にしても、明確にワイトレが原因の事故となった場合は、それを不正改造とみなされれば、保険の適用も危うくなります。
ワイトレに対して厳しい意見が多いのはこのように他人を巻き込む恐れがあるからというわけです。
(2) サスペンションジオメトリの崩壊 クルマのサスペンションは純正ホイールのインセットを基準に設計されています。
V36の純正ホイールのインセットは45mmです。
この値を小さくすればツラ出しできるのですが、その許容範囲は10mm以内、できれば6mm以内に留めます。
しかし、20mmスペーサーとなると一気に20mmも狂いますので、サスペンションは設計通りに動かなくなってしまいます。
例えば前輪の場合は、スクラブ半径が大幅に狂いますのでワダチにハンドルが取られやすくなり、ブレーキ性能が低下し、ブッシュ類の寿命も短くなってしまうようになります。
(3) 見た目の問題 上記の理由などから、ワイトレは比較的厳しい目で見られており、ワイトレを装着してツラ出ししているのは邪道とみなされる風潮にあります。
なので、ワイトレほかスペーサー類はできる限り装着しない方が性能的にも良いですし、見た目も洗練されているという評価になります。
自身ではかっこよくしたいと思ってスペーサー使うわけですが、結果としてはマイナスの評価になり得るということです。
(4) 正規のツラ出し方法 スペーサーでツラ出しすると、性能も低下し、見た目も邪道となると、一体どうしたらよいのでしょうか? そこには、ツラ出しにはきちんとした正規の方法が存在します。
基本的には純正のインセット45mmをあまり変更せずに、リム幅を広げることでツラ出しします。
V36の純正は7.5J+45ですが、これを約20mmツラ出しするには、例えば以下のようにします。
→ 9.0J+45(19.05mmのツラ出し) → 8.5J+38(19.7mmのツラ出し) 計算の方法は簡単です。
ハブ取付位置がリム幅の中心にある場合は、ゼロセット(=インセット0)です。
インセット45mmというのはリム幅の中心よりも45mm外側にハブ取付面があるといことです。
インセットを小さくすればツラは出ますが、それをやり過ぎるとサスペンションの性能が低下するのは先述の通りです。
リム幅はインチ表示(25.4mm)となっています。
なので7.5J+45を8.5J+45に交換した場合、インセットが同じ場合はリム幅は内側にも外側にも12.7mmずつ広がり、計24.5mmリム幅が広がることになります。
この場合のツラ出し12.7mmですね。
さらにインセットを7mm減らして8.5J+38のホイールに交換した場合は、インセットは7mm減りますので計19.7mmのツラ出しとなります。
車輪の外側に19.7mm出っ張りますが、内側は5.7mm(25.4-19.7)出っ張ることになります。
こんな感じで計算します。
V36は恵まれていて、前後純正ホイールでも初めからリアの方が5mmほどツラが出ているのです。
結構リアが引っ込む車両が多く、リアのみスペーサーなんて困った話がになるのですが、V36の場合はその心配は不要です。
前後同じサイズのホイール&タイヤを装着するだけでリアが出っ張った見栄えが成立するので恵まれていると思います。
可能であれば、ホイールを交換してリム幅を拡大した対応にしてください。
その方が、ディープリムやコンケーブの迫力あるデザインも選ぶことができるようになります。
なお、もしも車高を落とす予定がある場合は、先に車高を落としてからホイール選びをした方がスムーズです。
どうしてもワイトレを装着するならば、既述の注意点を良くご確認くださって、あくまでも一時的な対応とするのがよいと思います。
その他、ご不明な点がありましたら追加でご質問ください。