元阪急の三輪田勝利投手を知ってますか? 1969年 「きょうは自分のすべてをだしきって投げました」-ベンチに帰った三輪田は、水をのむと、ホッとした表情でこういった。シャットアウト勝ちは、昨年秋の対慶大戦以来という三輪田。この日はスリークォーターから投げる勝負ダマのスライダーが、よくきまって、立大打線を6安打に押え、通算10勝目をあげた。「フォームにこだわらず、無我夢中で投げました。そしたら完封勝ちになっていました」タオルで顔をふきながら話す。先日(二十一日)東大戦で打たれたので、どうしてもーという気持ちだったようだ。その横で、石井監督が報道陣にとりかこまれていた。「あんなに好投するとは思わなかった。東大に打たれたので、慎重に投げたのだろう。タマがよく散っていた」と、うれしい誤算とでもいったくちぶり。それでも、三輪田はピンチがなかったわけではない。二回連続安打をあびた無死一、二塁と、八回、無死一塁で上位打線とたいしたときだ。「二回のときは、まだ回があさかったので、それほどでもなかったが、八回はヒヤヒヤだった。幸い相手が打ち上げてくれたので・・・」と、自分の好投よりも相手打線に救われたという顔つき。三日前からカゼをひいたことも四回一塁ベース上で左足をスパイクされたことも忘れてしまったように、軽い足どりでロッカールームへ・・・。文学部三年、中京商出身、二十一歳。