元大洋のジェームス・マクマナス選手を知ってますか? 1962年 ユニホームの両腕をまくりあげ、両手を下げながらチョコチョコとベースをまわるマック。そのマックの前を走りながら桑田は昨年十月のハワイ遠征を思い出したという。「両手をプラプラ振りながらまるでお穣さんスタイルのような走り方、にくかったね。しかも必ず第一打席できまったように3ラン。得意満面なマックを何回も見たことか。はじめはチクショウと歯ぎしりしたが、そのうちになれっこになってしまった」ムードはハワイのときに似ていたというが、コンディションはかなり違っていた。三日の中日戦の試合前川崎球場のグリルでとった特別料理があたったそうだ。「ここ二日間なんにも食べてないんだ。なんか食べようとしてもすぐハキケがする。やっと試合前カツサンドを二、三切れ食べただけ」ロビーでホッとしたような顔をしてたばこをくゆらせているマックのかわりに通訳の橋本が説明した。「チェンジアップね。変化したね。シュートかな。ビッグ・ゲームの巨人戦に打てて大洋に大きなプラスができたと思うね。これからもこんなのを出したい・・・」たんたんとしゃべっていたマックの顔から笑いがこぼれたのは「後楽園の初ホーマー」という言葉が出たときだ。「オー、イエス、イエス。トテモウレシイネ」たどたどしい日本語が出るときはごきげんのとき。日本の最も代表的な球場である後楽園のスタンドへ早く打ち込みたいといっていたマックが首位をかけた巨人戦に出したのだからムリもないが・・・。-これで16試合連続安打だが、意識してる?「うん、七年間の野球で15試合が最高だからもっとのばしたいね、できれば20試合か・・・30試合・・・」この3ランはマック自身の連続安打の記録を更新した一発でもあったわけだ。午後十時快い口ブエをひびかせながらトヨペット・クラウンは静かに後楽園からすべり出した。多摩川の新居では長男のブライアンちゃん(一つ)が左手で子供のバットを振りながらバットの帰りを待っている。サウスポーブライアンちゃんと野球遊びをするのがマックの一番の楽しみだそうだ。