故障は多くの選手が経験します。 高橋選手だってバンクーバー五輪のプレシーズンに ひどい怪我をして 成功率の高かったクワドを それまでの跳び方では跳べなくなって 一から跳び方をやり直して しかし結局は以前のようにはできないまま 引退を迎えました。 あの怪我がなかったら そう思わずにいられない時期もきっと あったことでしょう。 さて、浅田選手ですが 今季は膝の故障のせいでシーズン前の練習が ほとんどできないままGPを迎えています。 厳密には、プログラムの練習はしていたでしょうが ジャンプの精度を上げていく練習が 故障のせいでほとんどできなかった。 その状態で、曲かけで通しで ジャンプをすべてこなすのは無理でしょう。 案の定、後半はジャンプのタイミングも何もずれてしまい おそらく練習不足からくるスタミナ不足と 膝をかばう演技からくる疲れが 後半に出てしまった、というところでしょう。 GPは・・・実はそんなに重要な試合ではありません。 そう言い切ってしまうと語弊もありますが・・ 全日本と、世界選手権こそが大切です。 全日本で勝たなければ世界選手権に行けないですし そうなると次の五輪への道が遠くなります。 しかしGPその他のISU公認競技会で 成績を出してポイントを積まなければ 世界選手権に出られたとしても SPの滑走順が不利になります。 難しい選択を今、迫られていることでしょう。 ムリをして膝が悪化すれば 最悪は全日本どころではなくなってしまいます。 かといって女子で3Lzを2本入れられない構成で かつ3Fからの3-3も入れられないとなると とても勝算はありません。 3Aの回りきっての転倒や URくらいであれば 3Lz1本分くらいの点数(GOEでのさらなる上積みは 難しかったとしても)がもらえるでしょう。 仏杯までの3週間弱で どこまで調整できるのかまったくわかりませんが 仏杯の成績というよりも この辺りからジャンプをアップしていかないと 全日本に間に合わないという事情もあるのだと思います。 ということできわめて厳しい状況かと思います。 しかし、過去にはコストナー選手だって ルッツもフリップも構成できない(怪我のせいで)時期を なんとかやり過ごして 五輪でメダルを獲っています。 唯一、いいことが今あるとすれば それは今季、3Lzが2試合続けて エラーをくらっていないことです。 UR判定でしたが、エッジのエラーはもらっていません。 これについてはもう浅田選手にとっては もはや不可能かと思われたほどの出来事でしたので 唯一の良かったことだったかと思います。 できることを全部やって 多少の故障はムリをしてでも 上を見てやっていくしかないのが フィギュアスケートという過酷な競技です。 3週間後、どんな演技を見せてくれるのかを 見守りたいですね。 日本を長くひっぱってきたエースに対する 敬意を込めて、私はそう思って見守っています。