元南海のティロット投手を知ってますか? 1970年 ファンの前でお家騒動の醜態をさらけ出した南海、ベンチがまる見えの一塁側スタンドから「なにをしている。みっともないぞ」「かえってしまえ、ティロット」のヤジがとんだ。七回救援したとたん、江藤に2点本塁打されたティロットは八回も下位打者から3連打を浴び、有藤にも右翼線に打たれ2点。たまりかねた野村監督が主審に投手交代を告げた。ティロットのところにはブレイザー・コーチが伝達に走った。事件はこのあとだ。かえられたことが不調のティロットはベンチに帰るなり、ブレイザーは二言、三言文句を言った。それでもまだ納まらないのかこんどは顔を突きあわさんばかりに大声でわめいた。いまにもつかみ合わんばかりのティロットの剣幕に沼沢、穴吹コーチが走りよって二人の仲にはいる。守備についていたジョーンズも大急ぎでベンチへ走る、選手がグラウンド上のプレーで審判の判定におこり、いざこざを起すことはよくあるが、同じチームの人間がファンの前で血相をかえってくってかかることはめったにない。スタンドからヤジがとんだのも仕方のないところだ。ティロットはことし元大リーガーのふれ込みで入団した投手。その助っ人が打たれたからといって腹を立て八回のピンチに二度も三塁カバーをおこたっては元大リーガーが泣く。野村監督は「同じ負けるにしても当然やるべきカバーはきちんとやってもらわなくてはいかん。ブレイザーが二回も注意に行ったほどで、こうした態度は首脳部に対する反抗と思う。罰金をとる」とカンカンだった。パ・リーグは阪急とロッテの激しいせり合いでいまファンの関心が集っている。そんな折りにこの内ゲバ。なさけない話である。