元阪神の駒田桂二投手を知ってますか? 1950年 梶岡ブツたおれ、藤村弟傷つき、田宮復調せず、野崎また元気なし・・・というんじゃあ猛虎タイガース牙も無かろうというもの、その傷だかけの虎がこれでなんとかゴマかしたいもんだとマウンドに押出したのが駒田君、コマダ?あんまり聞いたことねえ投手ー左腕、雇ったばかりの社員に大会が持たせられんと同情、未知数の新人、大切な公式戦にチョイチョイ顔を出せるハズもない。「ナイターのとき、中沢不二雄、サトウ・ハチローの両大人がネット裏でみていて、カーブを投げぬ面白い新人だといっていたけど、どうして投げない・・・」「まだカーブが投げられないんです。軟球界にいたときも速球だけで・・けっこう打たれませんでした、いつもヒット四、五本におさえてきました」野球選手としては眼のキレイなまあ上品な顔、新人だけに借りてきた猫のようにおとなしいが、言葉の調子に、芽が出かかったハリがノゾいている。「いまのピッチングで押すつもり?」「とにかく低目の速い直球と自然に落ちる球が出るンで、当分このまま・・監督さんも思い切りほうれといわれるんで・・・」「投げていて心細くないかナ」「やっぱり、いつ打たれるかと心細くてネ、だから御園生さんにカーブを習っているんです、しかしたまにカーブやってみると、スピード落ちるせいかキット叩かれちゃってネ・・」「でもこないだの夜と廿二日の大洋戦は大出来・・・」「まア、自分でもあの程度にほうれるようになって嬉しいんです。コントロールがついて、球にノビが出るようになったと先輩もいってくれるんで・・・」その先輩の一人、御園生主将によれば「カーブはほうれんが、コントロールがいいからネ、のびる男や。背は五尺七寸で十分やが、横がもう少しほしいナでもこんな時助かる、この頃の駒田は立派なもんや・・・」そうだ速球投手だけに、スタルヒン、別所、藤本あたりが目標だという。ナイターは気が楽だという「夜は速球が打てんことになってますから打たれそうで当らないフフ・・・」「もう少し肉がほしいネ」「これでもプロに入って太ったほうですよ、小さい時から野菜嫌いで偏食したからこんなにヤセているんでしょう、でもいまは無理して何でも食べてます、身体のために食べるってこと、ようやくイタについてきました」・・負傷者続出で腕の見せどころ「だからまア、チャンスなんです、暑いのは苦手ですが・・・」無理して夏も食べてる駒田君である、国鉄、広島、大洋に三勝、まだ黒星はない、廿四歳。