トヨタ・ハリアー
トヨタ・ハリアー
ハリアー(HARRIER)は、トヨタ自動車が製造・販売している高級クロスオーバーSUVである。
「高級サルーンの乗り心地と快適性を兼ね備えたクロスオーバーSUV」として開発され、1997年に初代モデルが発売された。「高級クロスオーバーSUV」という新たなジャンルを開拓した先駆的モデルであり、後に世界中のメーカーから数多くの追随モデルが発売されることとなった。
日本国外では初代と2代目モデルが同社の「レクサス」ブランドにおいて「RX」として販売されていた。国内においては2009年に発売された3代目RXでレクサス店での取扱いに移行したが、その後も2代目モデルの2.4 L車及びハイブリッド車が「ハリアー」ならびに「ハリアーハイブリッド」として継続して販売されていた。その後、約1ヵ月の休売期間を経て3代目ハリアーにフルモデルチェンジされ、レクサスRXから分離・独立して日本国内専売車種となったが、4代目ではトヨタブランドの別車種名として海外でも販売され、再びグローバルモデルへ移行されている。
カムリ(6代目カムリ・XV20系)のプラットフォームをベースとして1997年12月に登場。
エンジンは1MZ-FE型V型6気筒3,000 ccまたは5S-FE型直列4気筒2,200 ccであり、駆動方式は4WDとFFの2種類がある。トランスミッションは4速ATのみ。
1998年6月には特別仕様車“ハリアーザガート (ZAGATO)” が登場した。V6モデルをベースに専用アルミホイールやオーバーフェンダーなどを装備。これはイタリアのカロッツェリアであるザガート社とのコラボレーションモデル。
2000年のマイナーチェンジで、直列4気筒エンジンを2,200 ccから2AZ-FE型2,400 ccに変更。またベースグレード以外にディスチャージヘッドランプを採用(後にベースグレードにもディスチャージヘッドランプを搭載した特別仕様車“プライムセレクション”が発売)。良-低排出ガス認定を受ける。
広告のキャッチコピーは「WILD but FORMAL」、雄ライオンの頭部を持つ若き紳士がイメージキャラクターとなり、「乗用車ベースのラグジュアリークロスオーバーSUV」という新たなジャンルを表現していた。
2003年1月に生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
2003年2月に2代目と入れ替わる形で販売終了。
2003年2月17日にフルモデルチェンジし発売。日本国内の月間販売台数は2,500台、日本国外の月間販売台数は9,000台を目標にする。エンジンはV型6気筒3,000 ccまたは直列4気筒2,400 cc。トランスミッションは5速AT(3,000 cc)または4速AT (2,400 cc) になる。駆動方式は初代同様、4WDとFFの2種類。V6 3,000 ccの最上級グレード (=AIRS、エアー・エス) には電子制御エアサスペンションを搭載し、またレーダークルーズコントロールで用いているミリ波レーダーを併用する、自動車装備として世界初となるプリクラッシュセーフティシステムをオプションとして選択可能であった。
2006年1月10日には一部改良された。1MZ-FEエンジンを廃止し、新開発の3,500 cc・2GR-FEエンジンを採用した。また、350Gの2WD車にVSC&TRCを標準装備し、240Gと350Gには光軸調整用のオートレベリング機構付きのディスチャージヘッドランプを設定し、全車標準装備にした。全車にシートベルト警告ブザー、2鏡面式補助確認装置、ワイヤレスドアロック対応キー3本(従来は1本)を標準設定、カーナビゲーションをHDDタイプに改めるなど装備を大幅に充実させた。
また2005年からは、ハイブリッド仕様のハリアーハイブリッドもラインアップに追加。3,300 ccのV6エンジンと高出力モーターとを組み合わせ、高い加速性能と低燃費を両立させた。月間販売目標は500台と発表された。
2006年には250台限定でトヨペット店50周年記念の特別仕様車“ハリアーザガート (ZAGATO)” が登場。先代同様、ザガート社とのコラボレーションモデルで、改良内容も先代とほぼ同じである。レッドマイカメタリックは専用色(他にホワイトパールクリスタルシャイン、ブラックも設定)。今回はV6のほか、直4も選択可能。
2008年1月10日特別仕様車“ハリアー240G Lパッケージアルカンターラプライムバージョン” が登場。Lパッケージ”の装備に加え、18インチアルミホイール、3ボタンワイヤレスドアロックリモートコントロール(キー一体式標準車2ボタン)、パワーバックドア、本革(サイド+アームレスト)&アルカンターラ仕様(メイン+ヘッドレスト)の専用シート表皮、助手席4wayマルチアジャスタブルパワーシート、カップホルダー・収納ボックス付きリアセンターアームレスト、アルカンターラ仕様の専用車検証入れ、LEDハイマウントストップランプ付カラードリヤスポイラー(標準車はブラックのスポイラー)を採用。また、特別色として、ライトブルーマイカメタリックを用意した。さらにHDDナビゲーションシステム(音声ガイダンス機能付きカラーバックガイドモニター)などを特別装備し、より高級感を高めた仕様となっている。
2009年1月にはハリアーのレクサスブランド版である「レクサス・RX」の3代目が日本市場に投入されたが、2代目ハリアーは以後も販売が継続される(3,500 ccモデルは廃止)。
2009年8月18日には「240G」をベースに、スイッチ操作でバックドアを自動で全開閉できるパワーバックドア(挟み込み防止機能付)や「Lパッケージ」で人気の高い運転席マルチ8ウェイマルチアジャスタブルシート(電動ランバーサポート付)、4:2:4分割可倒式シート、シート表皮(ジャガード織物)を採用して高級感を演出した特別仕様車「240G Lパッケージ・Limited」を発売。
2011年10月3日には「240G」をベースに、アルカンターラの専用シート表皮及び専用車検証入れ、木目調+本革巻き3本スポークステアリングホイール、シフトレバー&ノブを採用。さらに、スイッチ操作でバックドアを全開閉できるパワーバックドア(挟み込み防止機能付)、8ウェイマルチアジャスタブルシート(電動ランバーサポート付)、スーパークロームメタリック塗装を施した17インチアルミホイールを装備し、魅力ある仕様とした特別仕様車「240GLパッケージ・ALCANTARA Selection」を発売。
2013年9月、生産終了。
2013年10月24日、販売終了。公式ホームページの掲載も一旦終了した。
3代目は、レクサスRXとは切り離され、国内専用車として再出発。その後、シンガポールとマレーシアに2017年6月改良型ターボ車に限り正規輸出を開始。先代では「ハリアーハイブリッド」として独立していたハイブリッド車を「ハリアー」として統合。ガソリン車・ハイブリッド車ともにグレード構成は共通となった。プラットフォームと基本コンポーネンツを4代目RAV4(日本未発売)と共用している。
外観はハリアー伝統の水平基調のプロポーションを受け継ぎつつ、リアクオーターピラーを前傾させたほか、フロントデザインはバンパーコーナー部を後方に引くことでフロントオーバーハングのボリュームを抑えつつ、立体的で力強い塊感を表現するとともにシャープで彫の深い造形とした。また、LEDヘッドランプを全車標準装備し、3本のライン状に発光するクリアランスランプを備えたほか、リアコンビネーションランプは光り方にグラデーションを付けた斬新な造形とした。同時にナンバー灯も白色LEDになり、スポーティーなデザインになった。
ボディカラーはオプションカラーの「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」をはじめとするダークカラー系5色を含む7色を設定したほか、内装色も新色の「ディープボルドー」を含む3色すべてをダークカラー系とした。
パワートレインは全面刷新されてダウンサイジングされ、ガソリン車はバルブマチックを備えた2.0 Lの3ZR-FAE型を採用するとともに、トランスミッションをCVT(Super CVT-i)に変更。さらに、アイドリングストップシステムも標準装備。ハイブリッド車は2.5 Lの2AR-FXE型を搭載。トヨタ製ハイブリッド車で主流の「リダクション機構付THS II」の採用により燃費を向上し、「PREMIUMAdvance Package」及びガソリン・2WD車、ハイブリッド車は「平成27年度燃費基準+20 %」を、「GRAND」・「ELEGANCE」・「PREMIUM」のガソリン・4WD車は「平成27年度燃費基準+10 %」をそれぞれ達成した。また、全長・ホイールベースを短縮したことで最小回転半径を5.3 m(17インチタイヤを装着したガソリン車の場合)とし、一方で後席のひざ前空間を拡大するなど、ゆとりのある室内空間を両立。ラゲージスペースはショックアブソーバーの配置変更を行ったことで9.5インチゴルフバックの場合で4個入ると同時に、デッキボード下にも収納スペースが設けられたことで荷室の収容能力を向上した。
また、センターコンソール内にQi(チー)に対応した機器であればケーブルレスで充電できる「おくだけ充電」(NTTドコモの登録商標)を備え、ガソリン車にはトヨタ車では初採用となる蓄冷エバポレーターを備えたことでアイドリングストップ時でもより長い時間冷気を車内に送ることが可能となった。また、安全装備も、運転席からの目視だけでは確認しにくい車両周辺の状況を車両の前後左右に搭載された4台のカメラで撮影された映像を継ぎ目なく合成し、シフト操作との連動で標準装備のナビゲーション画面に真上から見たような映像が映し出され、さらに、車両の前後進行方向に左右から近づいてくる歩行者などを検知して知らせるパノラミックビューモニター(左右確認サポート付)を採用するなど、先進の安全性能も採用された一方、先代モデルに装備されていたインテリジェントAFSやエアサスペンションは3代目では装備されていない。
実用性やスペックではなく品質やデザインを重視した、クーペフォルムのSUVとされている。
本代より、従来からのトヨペット店に加え、トヨタ店、トヨタ西東京カローラを除くカローラ店、ネッツトヨタ多摩・ネッツトヨタ東都を除くネッツ店でも取り扱われることから、初代から続いてきた「フロントグリルのチュウヒのエンブレム」がトヨタのエンブレムに変更された。
また、先代は国内専用車だったが本代は本格的グローバルモデルとなっており、北米市場では、2020年に2代目ヴェンザとして販売される予定。2022年からは中国での現地生産が開始される予定。
内装では、前席を中心に後席の頭上まで覆う大きなガラスにトヨタ車初となる調光機能を備えた調光パノラマルーフが採用された。
プラットフォームを従来の「新MCプラットフォーム」から既存の5代目RAV4と共通の「GA-Kプラットフォーム」を採用。パワートレインはダイナミックフォースエンジンの採用により全面刷新され、ガソリン車はM20A-FKS型、ハイブリッド車はA25A-FXS型となり、3代目の2017年6月改良型で設定されていたターボエンジン車が廃止された。全車WLTCモード走行による排出ガス並びに燃料消費率に対応し、ガソリン車・ハイブリッド車共に「平成30年排出ガス基準75 %低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得した。なお、ハイブリッド車はE-Fourに加え、2WDが新設定された。
予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」はプリクラッシュセーフティが歩行者(昼夜)や昼間の自転車運転者にも検知可能になるなど第二世代へ移行。デジタルインナーミラーにはトヨタ車で初採用となる前方カメラとデジタルインナーミラー用後方カメラが捉えた走行中の映像をSDメモリーカードに録画する前後方録画機能が新たに搭載された。なお、ドアミラーの部品は3代目から継承されている。
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