ランドローバー・ディフェンダー
ランドローバー・ディフェンダー
ランドローバー・ディフェンダー(Land Rover Defender)は、イギリス・ランドローバー社が1948年から製造していた四輪駆動車ランドローバー・シリーズを1990年に改良した時点で付けられた車名である。強靭なラダーフレームのシャシとアルミニウムボディを採用し、各国の軍用車両や警察、消防車両などに多数採用されている。
1983年、ランドローバー・シリーズ III のマイナーチェンジにあたり、ランドローバー・90/110と改称された。それぞれの数字はホイールベースをインチで表したもので、車名のように広告やマニュアルにも記載された他、ラジエーターグリル上のバッヂにも記載された。
1985年、業務用としての積載性向上のため、バン、ピックアップ、キャブシャシに127インチホイールベースのランドローバー・127が追加された。
90/110/127が揃った時点でランドローバーの他のモデルは高級SUVのレンジローバーのみであり、両者の区別は容易であったが、ランドローバー第三のモデルとして1989年にディスカバリーが登場したことを受け、混乱を避けるため、1991年に90/110/127の名称をディフェンダー90/110/130に変更した。127は切り良く130となったが、ホイールベースに変更は無い。フロントのバッヂもDefender 90/110/130となった。
2007モデルからはフロントのバッヂには何も描かれなくなり、ボンネットの前端にLand Roverとレタリングされるようになった。リアには新しいDefenderと描かれたバッヂがつく。現在ではバッヂにはホイールベースの数字は描かれなくなった。
アメリカおよびカナダでは、北米仕様(NAS)のディフェンダーが1989年から1997年にかけて販売されたが、90および110は付かず単にランドローバーとして販売された。
のちにディフェンダーとして知られるモデルの生産は1983年にランドローバー・110として始まった。名前は単純にホイールベースの長さが110 インチ(2,794 mm)であったことに由来する。93 インチ(2,362 mm)のランドローバー・90と、127 インチ(3.226 m)のランドローバー・127がその後登場した。
ランドローバー・シリーズIIIとの外観上の差はほとんどなく、フルレングスのボンネット、グリルの変更、ホイールアーチの拡張が最も顕著な変化であった。エンジンやボディーパネルはシリーズIIIからキャリーオーバーされたが、機構的には以下のように大幅に近代化された。
それに加え、将来のためによりパワフルでモダンなエンジンが設計されていた。
110は1983年に登場し、続いて90が1984年に登場した。1984年からドアウインドウがレギュレーターハンドルによる巻き上げ式となり(シリーズ IIIと初期の110は引き違い窓だった)、2.5 リットル51 kWディーゼルエンジンが搭載された。このエンジンは以前の2.3 リットル版の改良版であったが、より近代的な燃料噴射システムが搭載され、性能が向上された。レンジローバーの3.5 リットルローバー・V8エンジンの圧縮比を下げたバージョンが5速トランスミッションと組み合わされて採用された。
1990年、ランドローバー・90/110はランドローバー・ディフェンダーとなった。1989年にディスカバリーが発売されたため、混乱を避けるための変更であった。ディスカバリーには新しいターボディーゼルエンジンが搭載された。これは既存の2.5 リットルエンジンをベースにはしていたが、よりモダンなシリンダーヘッドやターボチャージャーの改善、直噴とインタークーラが搭載された。ランドローバー・200Tdiエンジンと呼ばれるこの新しいエンジンは 111 hp (83 kW)の最高出力と195 lb·ft (264 N·m)の最大トルクを達成した(ディフェンダーに搭載されたエンジンは排気周りの変更のためディスカバリー版(111 hp)からデチューンされた)。
1994年、新しいターボディーゼルエンジンであるランドローバー・300Tdiエンジンが登場した。200Tdiは大幅に改良はされていたが、古いターボディーゼルを直噴システムに対応させたものだった。対照的に300Tdiは本質的に変更が加えられ、同じ排気量にもかかわらず111 bhp (83 kW)の最高出力と195 ft·lbf (264 N·m)の最大トルクを達成した。
1998年に登場した50周年記念モデルの90にはレンジローバーの4.0L V8エンジンが搭載された。
1998年、ランドローバー・Td5エンジンが搭載された。2.5 リットル直5ターボディーゼルエンジンで、ユーロIII排出ガス規制に適合していた。電子制御システムが搭載され、最高出力は122 hp (91 kW) / 4850 rpmと11馬力Tdiエンジンより向上した。電子制御システムの導入を伝統主義者はシビアな状況で不良があると批判したが、それは根拠がないと証明された。
2007年春、主に排出ガス規制と安全法案を満たすために大幅は変更が行われた。最大の変更はドライブトレーンである。Td5エンジンはフォードのデュラトルクシリーズのエンジンに置き換えられた。Td5エンジンはソリハルの自社工場で生産されていたが、新エンジンはフォードのダゲナム工場で生産される。フォード・トランジットに搭載されたZSDファミリーの2.4 リットル直4ユニットが選択された。エンジンの潤滑やシーリングはオフロードでの水やホコリ、極端な角度にも対応された。最高出力は122 hp (91 kW)と同一であるが、ピークの回転数は落とされ、牽引時や加速時のパフォーマンスは向上した。最大トルクは可変ジオメトリーターボチャージャーにより221 lb·ft (300 N·m)から265 lb·ft (359 N·m)に向上した。エンジンは新しい6速トランスミッションと組み合わされる。1速は以前のトランスミッションより低く設定され、より低速でのコントロールを容易にした。6速は高速でのノイズや燃料消費を低減するためより高く設定された。
他の大きな変更としてはインテリアがある。1983年の110から続く(1971年のシリーズIIIと非常に似ていた)ダッシュボードはのレイアウトはフル幅のフェイシアと新しいインストルメント・パネルに変更された。インストルメント・パネルはディスカバリー3のもので、センターパネルのいくつかはフォード・トランジットのものである。いくつかのスイッチは以前のものから持ち越された。新しい空調システムにより大幅に除湿性能および暖房性能が向上した。
その他のインテリアのチェンジとしてはシートレイアウトがある。EUの法律により以前のランドローバーのステーションワゴンが採用していた内向きのリアシートは違法になった。そのため2007年モデルのディフェンダーでは4つの内向きシートが2つの前向きシートに置き換えられた。これによりディフェンダー90ステーションワゴンは4人乗りとなり(以前は6または7人乗り)、ディフェンダー110ステーションワゴンは以前の7人乗りとなった(以前は9人乗り)。これにより積載量は大幅に減少し、ディフェンダーは同様のレイアウトを採用する競合他社と同じ土俵で競争しなくてはならなくなった。新しいボディースタイルとして110ステーションワゴンに'ユーティリティ'が導入された。5ドアステーションワゴンのボディーだが3列目シートやリアサイドの窓が取り外され、安全で屋根のある荷室を持つ5人乗り車となっている。
エクステリアの変更は細部のみである。ボンネットは新しいエンジンを収めるためと、歩行者保護ルールへの対応のためバルジが設けられた。新しいダッシュボードと空調システムにより、ランドローバーのユーティリティモデルの特徴となっていたフロントガラス下のフラップは不要になった。フラップは無くなったがバルクヘッドのプレスは同一のため、フラップのアウトラインは未だ残されている。
2012年モデルよりエンジンとパッケージオプションが変更された。
最大の変更はエンジンであり、EU5に対応した2.2Lターボディーゼルエンジンに置き換えられた。最高出力および最大トルクは従来のエンジンと同一で、122PS / 3,500rpmおよび360Nm / 2,000rpmとなる。新エンジンにはDPFが搭載される。
パッケージオプションとして、コンフォートパックとオフロードパックが設定された。コンフォートマップではエアコン、外部入力付きCDプレイヤー、パワーウィンドウ、リモート集中ロックがセットとなる。オフロードパックではABS、ヘビーデューティ仕様のリム、MTタイヤ、トゥーボール、アンダーガードがセットとなる。
2013年10月、最新の衝突安全基準や排ガス規制に対応することが難しくなったという理由により2015年12月20日を持って生産終了とされることがアナウンスされ、67年間の歴史に幕を下ろすこととなった。最後の生産車両は、「ディフェンダー・90ソフトトップ」で'H166 HUE'のナンバープレートを装着して、2016年1月29日 金曜日の午前9時22分に従業員や報道陣に囲まれながらソリハルの生産ラインを後にした。
2018年1月17日、ランドローバーの70周年を記念して「ディフェンダー ワークスV8」が発表された。5リッターV8自然吸気ガソリンエンジンが搭載される。150台限定。
1997年4月、ディフェンダー 90が500台限定で導入された。
1998年12月、ディフェンダー 90SW 50周年記念モデルが450台限定で導入された。
2002年4月、ディフェンダー 110SWが導入された。
2002年9月、110のダブルキャブピックアップモデルがディフェンダー ブラックとして50台限定で導入された。
2003年7月、マイナーチェンジされディフェンダー 110SEとディフェンダー 110Sの2グレード構成となった。
2011年9月13日、フランクフルトモーターショーにてランドローバーDC100が発表された。
2019年4月30日、次期ディフェンダーのテストシーンが公開され、2019年6月4日に次期ディフェンダーの最終フィールドテストの様子が公開された。
2019年9月10日、フランクフルトモーターショーにて新型ディフェンダーが発表された。ショートホイールベースの「ディフェンダー90」とロングホイールベースの「ディフェンダー110」がラインナップされる。新たに開発されたD7xアーキテクチャが採用され、先代までのラダーフレームからアルミニウム製のモノコックに変更された。サスペンションは前後とも独立懸架となる。
エンジンは最高出力200PSと240PSの2リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジン、300PSの2リッター直列4気筒ガソリンターボエンジン、300PSの3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジン、400PSの3リッター直列6気筒ガソリンターボエンジンが設定された。
生産はスロバキアのニトラにあるジャガーランドローバーの新工場で行われる。
2019年11月3日、日本での先行予約受け付けが開始された。導入されるのは「ディフェンダー90ローンチエディション」「ディフェンダー110ローンチエディション」の2モデル。エンジンは2リッター直4ガソリンエンジン「インジニウム」が搭載される。150台限定でデリバリーは2020年夏から。
ローンチエディションが受注開始から4日で上限台数に達したため、同年11月18日に先行予約モデル第2弾の「スタートアップエディション」が発表され、同日から2020年3月31日まで受注を受け付けた。ローンチエディションとはスペック・装備面の大きな違いはないが、受注台数が制限されていない。デリバリーは2020年の秋以降。
2020年4月6日、通常モデルの受注を4月9日に開始する事が発表された。これに加えて、需要の高いアイテムを標準装備した日本限定仕様「キュレーテッドスペック」を90と110で合計5種類設定されることが発表された。
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