ランボルギーニ・ガヤルド
ランボルギーニ・ガヤルド
ガヤルド(Gallardo)は、イタリアの自動車メーカーのランボルギーニが製造していたスポーツカーである。
かつてランボルギーニには、「ベビー・ランボルギーニ」と呼ばれる一群の車種としてウラッコ、シルエットおよびジャルパがあった。しかし1990年代には、プロトタイプのカーラを除いて、フラグシップの12気筒(ディアブロ)以外の車種は揃えていなかった。2003年、ガヤルドはフラグシップ以外の車種として久しぶりに発表された。スタイリングはムルシエラゴと同様に、ベルギー人デザイナーのルク・ドンカーヴォルケによって主導された。車名は闘牛名に由来するものではなく、18世紀スペインの闘牛飼育家であるフランシスコ・ガヤルドから採られている。
エンジンは、バンク角90°を持つ水冷V型10気筒エンジン。アルミ鋳造製のシリンダーブロックは、アウディ製のものとベースは同じ。重心を下げるため広いバンク角度を採用しているが、等間隔燃焼を実現するためにクランクピンを18°オフセットしている。排気量は5Lであり、1L当たり100psとなる500psを発生している。ボア×ストロークが82.5mm×92.8mmというロングストローク仕様であるため、低回転域のトルク特性に優れている。ロングストロークではあるがレッドゾーンは8,200rpmからとなっている。2006年モデルより排気系の見直しで520psへと出力が向上した。
エンジン搭載形式はミッドシップだが、これだけの出力になると2輪駆動ではトラクション確保が困難である為、その理由から4WDシステムが採用されている。本車種における4WDシステムは、低重心化も兼ねてエンジンとともに構造限界まで下げた状態で搭載されている。また複雑な制御で知られるアウディ製クワトロシステムではなく、シンプルなセンターデフ式で、ビスカスカップリング式LSDを使用しており、この点はディアブロに準じる基本構成となっている。トランクはミッドシップ車に相応しくボンネット下。
ボディは発売当時からアウディ製のアルミスペースフレームで構成されている。ボディ単体での重量は250kgと軽量である。総車体重量は1,430kgと公称されている。ランボルギーニ伝統の低い全高は受け継がれており、全高は1,160mm。
本車は、ドアに関しては日常使用の使い勝手を向上させる為と言う理由からシザードアにはせず一般的な前ヒンジの横開きドアを採用した。また、2005年モデルよりフロント部車高を少し上昇させることが可能となっている(日本仕様では標準装備)。このシステムは油圧式であり、車高を上げた状態でも70km/hで走行でき、またタワーパーキングへの入庫が可能となっている。
2008年にマイナーチェンジが行われ、ランボルギーニ伝統の「LP」が付けられた「LP560-4」が発表された。フロントバンパー、ライト、ボンネット、リアバンパー、リアコンビネネーションランプの変更。リアフェンダーダクトの廃止。これにより、5.2L直噴エンジン(最高出力560ps/55.1kg·m)、1,420kg、4WDのスペックとなり、ドイツ国内では2009年のベストスポーツカー賞を受賞した。なお、この2009年仕様エンジンは親会社であるアウディのスペチアーレ「R8 5.2LFSI」にも採用されている。
2010年3月のジュネーブショーにてサーキット走行向けのモデルである「LP570-4Superleggera」が発表された。これは570psエンジン、1,340kg(アルミ&カーボンボディ仕様)となっている。
2013年11月に、ランボルギーニ史上最多となる総生産台数14,022台で生産を終了した。販売台数も後継のウラカンに抜かれるまでランボルギーニ史上最多、売り上げ額も最大を記録した。
ベースグレード・モデル。
2005年に追加されたモデル。ルーフがカットされ代わりに電動ソフトトップが採用されている。開閉時間は20秒。5本スポーク・ホイール「Callisto」を装着。
車体パーツをカーボンファイバーに置き換え、車重をノーマルより100kg軽量化(1,330kg)し、吸排気系の見直しにより出力を10psアップの530psとした限定モデル。なお、スーパーレジェーラとはイタリア語で超軽量の意味。パワーウェイトレシオは2.5kg/psで、発表された0-100km/h加速は3.8秒、トップスピードは315km/hとされる。オプションとして大型カーボンリアウイングがあり、ノーマル仕様に装備されている非可動式リアウイングとは選択式。
2004年5月にイタリア警察高速隊のパトカーとして「ガヤルド・ポリツィア・ストラダーレ」が採用された。車両の製作やメンテナンスはランボルギーニが行い、乗務するドライバーのトレーニング、選抜に協力する体制がとられた。
フェイスリフト後のベースグレード・モデル。エンジンが直噴化され、クランクシャフトの形式も変更された。
2008年のロサンゼルスオートショーにおいて発表されたオープン・モデル。
2009年に発売された5.2L、V10、550psで2輪駆動の250台限定モデル。ネーミングの由来は、40年以上に渡ってすべてのランボルギーニの開発に携わり、テストドライバーも務めていたヴァレンティーノ・バルボーニに起因する。変速機は6速MTを標準設定とし、eギアはオプションとなる。リアデフのチューニングを最適化、リアアクスル用LSDも新たに開発。スタビライザー、ダンパー、コイル、タイヤ、ESPといったあらゆる部分を変更。
ある日、ヴァレンティーノは自分の名前のついた車に乗って帰宅。翌日の出勤途中にフェルッチオの眠る墓地にさしかかると「ありがとう」と、心の中でフェルッチオにお礼をするために車を止めたという。
2010年、「LP550-2 ヴァレンティーノ・バルボーニ」の好評をうけて2輪駆動モデルがカタログモデルとして加えられた。
2010年3月のジュネーブモーターショーにおいて発表されたモデル。ベースモデルから70kg軽量化し、最大出力570psを発揮する。エクステリアの改良で空力性能を向上、レヴェントン風のフロントバンパー、大型エアインテーク、レーシングカー的なリアディフューザーやリアスポイラーを装備する。インテリアにも専用装備を多数採用している。
2011年9月のフランクフルトモーターショーで発表されたモデル。パワートレインは前述のLP570-4と同じものだが、ディフューザー、リアスポイラーなどにカーボン素材を多用し車重は1,340kgに抑えられ、ブレーキを中心に改良が施される。0-100km/h加速3.4秒、最高速度340km/hと公表される。
2013年4月の「オート上海」において発表されたアウトモビリ・ランボルギーニの創立50周年記念モデル。専用色の白系「ビアンコ・オパリス」で塗装され、カーボンファイバー製のリアウイングや、透明なエンジンフード、ダークグレーの19インチアルミホイールなどを装備する。世界限定台数は90台以下。
ガヤルドをベースに開発されたモデル。2010年10月のパリ・モーターショーにおいてコンセプトモデルとして発表され、2011年にサーキット走行専用車として生産が決定した。セスト・エレメントとは「第6の元素」という意味で、即ち原子番号6の炭素を指す。その名の通りボディはカーボン材から成り、その他の部品にもチタン合金など軽量素材を多用したことで、最高出力570psの5.2L V型10気筒エンジンを搭載しながら、車重999kgという軽量に仕上がった。四輪駆動。0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は300km/hを発揮する。
「ガヤルド・ポリッツィア」1号車が退役し、2008年10月24日にLP560-4をベースとする代替車両として納車された。この「ガヤルド LP560-4 ポリツィア」は通常の任務の他、移植用臓器の搬送を行えるよう、そのための装備が組み込まれている。また、同車に乗務する警察官は、特別に選抜されトレーニングを受けたメンバーのみ乗務することが認められる。この車両は2009年11月29日(現地時間)夜、学生向けのジョブ・フェアで展示の帰途、ガソリンスタンドから出てきた一般車を避けようとしてコントロールを失い大破。この事故による死傷者はなかった。2014年以降、後継車種である「ランボルギーニ・ウラカン・ポリツィア・ストラダーレ」への交代が行われ、2017年に全車退役した。一部車両は警察車両博物館に収蔵されている。
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