いすゞ・ビッグホーン
いすゞ・ビッグホーン
ビッグホーン(BIGHORN)は、かつていすゞ自動車が製造・販売していたSUVである。
1981年より販売開始。型式の「UBS」はビッグホーンの社内コードで、小型ボンネットトラックを指す。
日本における乗用車のコンポーネントを流用したSUVの草分けだが、当初は装備も貧弱なうえ、貨物登録のみで商品力が弱く、国内マーケットには理解されないまま販売が伸び悩んだ。またフロントマスクがあまりにもレンジローバー(1970年発売)の意匠と似ており、自動車評論家に「プアマンス・レンジローバー」と批判されたこともあった。このビッグホーンの登場の後にトヨタ・ハイラックスサーフ、三菱・パジェロ、日産・テラノの躍進によりRVブームが起こったが、ビッグホーンは先駆でありながら常にこれらの後塵を拝する存在に甘んじた。
初期のUBS52系は、乗用車系の容量不足のフロントサスペンションとドライブトレインに起因する耐久性の低さが大きな問題であったが、サスペンションの設計変更を行い、エルフのエンジンとドライブトレーンを流用したUBS55系以降はその弱点を克服した。メディアへの露出が増えてくると、ごく自然なドライビングポジションや軽快でクセのないハンドリング、そしてクロスカントリーカーとしての悪路走破性など素性の良さが認められ、次第にマーケットに受け入れられていった。その一方、開発費不足から室内の改良までは手が回らず、居住性や利便性への不評は販売台数が伸びたことで逆に増える結果となった。
販売当初は国によってトゥルーパー(TROOPER)、中南米ベネズエラなどではカリベ442(CARIBE442)としていたが、1980年代末からSUVを持たないメーカーやGMグループ各社に対して、いすゞのOEM車の主力として、アキュラを含む、ホンダ・ホライゾン、スバル・ビッグホーン、GMはシボレー・トゥルーパー、オペルとボクスホールへはモントレー、ホールデンではジャッカルーの名で販売された。
いすゞの小型乗用車事業撤退後は主力車種となるが、2002年のSUVを含む乗用車事業からの完全撤退に伴い日本国内向けの製造は終了となった。その後はいすゞやGM系海外メーカー向けなどの輸出専用車として製造されていたが2003年にこちらも製造終了となった。2代目モデルは優秀なクロスカントリー車として現在も根強い人気があるが、生産終了から年数が経過し部品の入手が難しくなりつつある。
販売終了前月までの累計生産台数は4万9131台
型式はガソリン車が6VD1型エンジン搭載のUBS25、6VE1型エンジン搭載のUBS26、ディーゼル車が4JG2型エンジン搭載のUBS69、4JX1型エンジン搭載のUBS73である。それに続くDはショートホイールベース、Gはロングホイールベース、末尾のWはワゴンの記号となる。例えばUBS25DWと表記されると、25(マイナーチェンジ前のガソリン車)でD(ショート)の車両を指し、イルムシャーRSと特定できる。
2ドアのショートホイールベースモデルと、4ドアのロングホイールベースモデルがあったが、先代と異なり全て乗用(3ナンバー)登録のみとなり、商用グレード(バン系車種)が設定されなかった。テールランプは初代ファーゴのものが流用されている。
エンジン等のコンポーネントやプラットフォームを共有する車両が存在する。サブネームが車名に昇格するものも多く、やや判り辛い。
ロッキー山脈に生息するビッグホーン(別名オオツノヒツジ)から採られたもの。
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